洒落怖
花束

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109 本当にあった怖い名無し 2007/02/18(日) 12:20:55 ID:x8Q31fVt0

橋の欄干の隙間から、橋の歩道に向かって、何か白っぽい棒状のモノが
伸びている。
 もしあれが人の腕だとしたら、橋の外側にぶら下がって掴まり、
歩道に向かって手を伸ばし這い上がろうとしている状態である。
自殺未遂の人?・・・イヤ、アレは人じゃない・・・!直感であった。
そう思って身構えつつ、目を凝らした次の瞬間・・・

 「うぬぅ・・・おぉ~ん・・・」

 気だるそうな女の声が響き、水にまみれて海草のようになった長髪が、
 べったん!!
 と音を立て、欄干の隙間から歩道にはみ出てきた。
(頭も・・・上がってきている・・・顔が・・・見える!!)
 目を逸らそうとした矢先の、一瞬だった。
 今度は長髪に覆われた青白い人間の頭部のようなモノがにゅっと
はみ出てきて、俺の置いた野花を手に掴んでがつがつと口に含み、

ずりゅり!!

―手・髪・頭ごと、橋の裏側へ引き摺られるように一気に引っ込んでいった。
欄干の隙間は、どうやっても人間の頭部が抜けられない幅である。
その隙間を、青白い頭部が変形しながらすり抜けていた・・・

 次の瞬間、俺は校内最速記録を確実に更新する勢いで、
自宅まで突っ走った!(ヤベー、マジ脚力鍛えといて正解だったわ~!!)

134 本当にあった怖い名無し New! 2007/02/18(日) 23:15:29 ID:OM50W+Dl0

翌朝、母親から「あの橋にはもう行くな」と言われた。
母ちゃん霊感持ちか?と意外に思いつつ、理由を訊くと・・・
「あの橋の近所の○○さんがね、昨夜橋の上で何かが燃えてるのを
見たんだって。放火魔みたいなアタマのおかしい人の仕業かもしれないから、
もう一人で行くのやめなさい。」
(その燃えていた「何か」って・・・)
俺は昨日見かけた枯れた花束のことを母親に話した。
(流石にバケモンのことは言わないでおいた・・・)
「じゃあその花束が燃えてた・・・?でもそれだとハナシがおかしく
なるんだよね・・・」
母親が付近住民のハナシを整理した限りでは、炎は昨夜数時間にわたって
橋の上で燃え続けているのが目撃されていたそうだ。
―枯れた花がそんなに長時間燃え続けるものだろうか?

疑問に思った俺は、その日の学校帰りに、もう一度橋まで行ってみる
ことにした。
流石に一人では恐くて無理だ。部活仲間を一人巻き添えにして、
通学用の自転車を二人乗りして現場へ向かった。

141 本当にあった怖い名無し New! 2007/02/18(日) 23:56:56 ID:rPGMrqb00
橋に到着。時間帯は前日来た時とほぼ同じで、辺りは薄暗い・・・
「おっ、おい!あんまそれ以上進むな!」
運転する友人に呼びかけ、橋の中間点から20メートル程離れた所で、
自転車を止めさせる。いきなり接近するのは危険だ。
「ハイハイ、言われなくたって、俺こんな自殺スポット来たくねぇよ・・・」
元来ビビリ屋の友人である。
「わるいねw でさ、あそこの辺で何かが燃えてたんだと思う。何か見える?」
ポイントを指差す俺。薄暗い闇に目を凝らす友人と俺。
いつの間にか風が吹き始めた。
「あの中間点?・・・モロ何か落ちてんじゃん!うわっ、キモッ!何あの白いの!?」
雑誌くらいの大きさの、白い紙だろうか、橋の歩道に沿って何枚も並べて
置かれているようだ・・・
不思議である。風に吹かれてはためいているのに、その場にとどまって
飛ばされない紙の列。思わず歩み寄っていく俺と友人。
(・・・真っ白な・・・紙・・・?)
昨日見た、花束の包み紙の残骸のようにも見える。

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