業界、職業
シミ

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554 ① sage 2009/09/09(水) 23:41:34 ID:zEIxBXPZ0
俺は銀行員。
あるパチンコ屋から融資の依頼があった。(「金を貸してくれ」ってコト・・・)
みんな知らないかもしれないが今銀行はパチンコ業界にはほとんど金は貸さない。
(理由はあえて伏せておく)

形式的に俺はそのパチンコ屋に出向き、そこの社長に融資の希望金額とか景気とか聞いた。
担保となるパチンコ屋の店の外観をデジカメ撮影しなきゃいけない。
(金を貸すとき担保物件の写真は必要となる)
パチンコ屋の店の前に広がる駐車場から俺は何枚か建物に向けシャッターを切った。
「あーあ どうせ金貸さないのにどうしてこんなことしなきゃいけないのかな・・・?」
俺は思ったが上司の命令だからしかたない。

写真撮影にそのパチンコ屋の専務が付き添った。
「しかし専務 結構繁盛しているじゃないですか うちの融資なんて必要ないんじゃないですか?」
お世辞交じりと後に融資を断る口実として俺はその専務に言った。
「いや 全然ですわ・・・あの事故以来・・・」
「あの事故って何ですか?」
2ヶ月前にこの地方の支店に転勤してきた俺は何のことかわからなかった。
「車に子供乗せたままパチンコしとったんですわ 若い母親が・・・熱中症で息子さん死によりましたけどな・・・ほんまアホや・・・」
「・・・」
「あれから 役所が警備状況の調査とか言ってしょっちゅう来るしお客も何か気味悪がってさっぱりやわ」
俺はふと駐車場のアスファルトに目が行った。
何かシミみたいなものがある。
それは丁度子供が横たわってエビみたいに丸くなっているようなしみだった。
「あのぉ・・・その事故があったのはこの駐車場のどの辺りなんですか?」
「ん?・・・ああ丁度このへんですわ」
専務ははき捨てるように言った。
俺はその言葉をきき益々そのアスファルトのシミが子供が横たわっているように見えてきた。

555 ② sage 2009/09/09(水) 23:43:07 ID:zEIxBXPZ0
夕方支店に戻りデジカメでとった写真をパソコンに落とす作業に入った。
しかし不思議なことに確かに写したはずのパチンコ屋の建物はどれも黒い闇が広がるだけで何も写っていなかった。何枚も写したがどれも同じ黒い闇・・・。
なんでだろう、現場で確認したとき写ってたんだけど・・・俺は焦った。
「おーい まだ稟議できないのか?」上司が催促してきた。
「すみません 写真が撮れてなくて」
「は?何やってんだ!支店長への提出は明日の朝一だぞ!今から撮り直しに行ってこい!」
「え?今からですか?」
もう夜も10時を回っていた。

俺は渋々さっきのパチンコ屋へ再度デジカメ撮影に向かった。
もう閉店後だったので駐車場にはほとんど車は停まっていなかった。
撮影のためのベストポジションはさっきの場所。
そう思ったとき俺はあの子供が横たわったようなシミを思い出し背筋がゾクっとした。
結局その場所には行かず、て言うか行けず違うところから建物を撮影した。
念のため携帯でも撮影した。そしてその場で繰り返し写っていることを確認した。

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