洒落怖
小鳥子象

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「はーい」と出てきたのはM子のお母さん。俺がなんて説明しようかと迷っていると、
お母さんが「あら?もしかして・・・Sちゃん?(=俺の名前)」と言ってくれた。
「まぁー懐かしいわねぇ、大きくなって。あがっていきなさいよ。お茶でも飲んでいって」と
いうことで、家の中に通してもらったんだ。
M母「でもまぁどうしたの?突然に」
俺「いや、仕事でこっちのほうにきたのでつい懐かしくなって・・」としばらくは俺の
近況報告みたいなのになったんだが、話が一段落したところで切り出した。
俺「M子ちゃんは今はどうしてるんですか?」
母「・・・・・・・」

10 本当にあった怖い名無し sage 2008/08/10(日) 02:07:36 ID:p9EyjhuF0
(その5)
無言なまま5分くらいたっただろうか。下を向いたまま何も話そうとしないM母。
俺もちょっと「何かまずいことを聞いたんだろうか・・」と
後悔しはじめた頃にやっとM母が語り出した。

「Sちゃんは・・・まだ小さかったから何も分からなかったのよね。
で、すぐに東京に行ったから知らないままだったのね・・・」
俺は訳も分からずポカーンとしてると、M母が全てを教えてくれた。

以下はM母の話だ。方言は標準語に直してるし、話はもっと長いんだが、
ある程度要約もしてることを先に断っておく。また人権問題の微妙な話も
含まれるのでその辺りは割愛する。
====
M子がまだ1歳の頃の話よ。その頃はまだこの辺りはこんなに開けてなくてね。
山の中の小さな村で・・・この辺りは今でいう「同和」っていうの?要は部落があったのよ。
部落の話はSちゃんもある程度は知ってるわよね?
で、ある時、この辺りを開発するってことで県のお役人がやってきて、私たちと県のお役人で
大喧嘩が始まったのよ。私たちとすればこの土地でこれからもずっとひっそりと
暮らしていきたいのに、そんな新興住宅タウンを造るなんてとんでもない!と。
そこで、村の男達が毎晩集まって相談をしていたのね。
この地方にはね、コトリコゾウ様っていう言い伝えがあって、生まれて2歳までの女の子を
生け贄としてコトリコゾウ様に差し出すと、ものすごい力で憎い相手を退けることができるって
言い伝えがあったの。私達ももうここ何十年もそんなことはずっとしていなかったんだけど、
村の長が「コトリコゾウ様に生け贄を差し出す」って言い出してね、そしたら村の男達も「それしかない!」って
ことになったのね。そのとき村には2歳までの女の子はM子しかおらず、結局白羽の矢がM子に
立ったわけ。そりゃ私やお父さんは大反対したわ。でもね、結局、長には逆らえず
泣く泣くM子を生け贄としてコトリコゾウ様に差し出したわ。
裏にG山ってあるでしょ。あの山の頂上に社があるんだけど、Sちゃんも行ったことあるでしょ?
あの社にはコトリコゾウ様が祀られているの。長が泣き叫ぶM子を私達から奪って、
G山に連れていったわ・・・・。

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