洒落怖
ミミズと僕

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それからの2,3日して僕はすっかり元通りになっていた。好き放題に遊びまわり
食べまくりもした。変わったといえば少し前よりは思いやりという心が増えたはず

805 797 sage 2008/08/23(土) 13:38:25 ID:m5Sp02uX0
あれは何日後のことだったか。暑い晴れた日の放課後みんなで野原に囲まれた
土の上でサッカーをしていた。ミミズのことなど皆忘れていた。
僕も正直もう切り替えていた。これからは皆にあんなわがままはしない!

ボールが僕の頭上を大きく飛んでいった「とってくる!」
野原をかきわけていくと最近は遊びに使わなくなった小川が見えてきた。
思えばその頃から川が汚くなり始めていて皆臭いといって近づかなかったのだ。
ボールは川の一歩手前で止まっていた。ボールを手にとると自然と濁った水面
の中にあるゴロゴロしたものが目に付いた。
大量のガチャガチャ。。僕らが集めてたシリーズの人気のないやつ、僕が
ミミズに押し付けた・・
後ろに冷たい気配と冷たい感触が襲ってきて振り向こうとした時、されるがままに
僕は川の中に突き落とされた。
川はあんなに日が照っていたのにひどく冷たかった。だがそれ以上に足元に
激痛が走る、そのとき僕の足にひびが入ったらしい。思ったよりも小川は
深くて仰向けにのんびりしていたら溺れてしまうから必死で身をおこして
いたが冷たいし痛いし、でも足が痛くて起き上がれなくてだんだん感覚が
なくなっていった。このままじゃ死んじゃう!「だっ誰かー!!たすけてー!」

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813 797 sage 2008/08/23(土) 15:54:00 ID:Zd/SYbRu0

野原にはミミズが立っていた。僕の体温はさらに下がっていった、なんだ?
これも幻覚なのか?幻覚だからミミズの髪がそよ風になびかないのか・・
ふと僕は(僕はここにきちゃいけなかった)と悟った。ここはミミズの秘密の
場所だったんだ・・なぜか頭の悪い僕にもわかった。目の前に立っている
無表情のミミズの気持ちがよくわかる気がした
背中を押したのはきっとミミズだったんだろうけどそのときは必死だった
「助けて!たすけて・・足が動かない・・このままじゃしぬ!」
ミミズなら助けてくれるだろ・・

いつもよくみたミミズの顔だ、困ってるけど笑ってる顔、ギョロ目を
細くさせて・・今ではその目から涙をしたたらせて・・
「ぼくはそんないいやつじゃないよ・・」

ハハハハハとミミズが笑う途中で僕の意識は途切れた。

814 797 sage 2008/08/23(土) 15:55:57 ID:Zd/SYbRu0
病院で母に頼んであのガチャガチャをミミズ兄に渡してもらうよう頼んだ。
断れても絶対に渡すようにと。それからは夢の中でも現実でも彼に
会うことはなかった。
あれからミミズ兄とも会ってないが、思うに霊感があるといったのは
僕を落ち着かせるためについた嘘だったんだろうと思う
ミミズはやっぱりあのガチャガチャを返して欲しかったんだ。

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