洒落怖
ミミズと僕

この怖い話は約 4 分で読めます。

802 797 sage 2008/08/23(土) 13:32:03 ID:m5Sp02uX0
朝あんなに晴れていたのにものすごい夕立がきて、
車がスリップしミミズに激突した。即死だった。
ガチャガチャのある店の前で・・
僕に初めてとてつもない罪悪感がのしかかってきた。
葬式の時にもまともに写真を見ることができずひたすら心のうちで
謝るばかり・・ 

勘違いでもなんでもない。あの日僕が返さなかったから
ミミズは店のガチャガチャをやりにいったんだ。わらにもすがる思いで!
そのときはねられたんだ!それでしんだんだ!!
ミミズが死んだ!!!僕のせいで・・?

初めてづくしの一日だった・・初めて自分の行動を恥ずかしく思ったし
初めて自分の性格というものを考えた。そして何より
初めてミミズの立場になってみたのだ。

ミミズはなんであんなに僕のわがままを許してこれたんだろう・・
僕はあんなことされたら絶対怒るのに、蹴りいれてるのに。
いらないガチャガチャなんて渡されても困るだけだし、ずっと馬鹿に
されたら・・ 自己嫌悪になりながら寝床についてその日は電気を消した。

803 797 sage 2008/08/23(土) 13:34:47 ID:m5Sp02uX0
暗闇の中にガチャ玉が浮かんでた。中にはあの幻の怪獣が入ってる
ミミズの兄貴の・・でも今は僕のだ!
中の怪獣が叫び始めた。
小さい目のはずなのになんだか大きく見えてきた、おかしい、こいつに
黒目はないはずなのに・・  
キョロリと僕を睨んだのはミミズの目
「まっくらだ!ここはまっくらだよぉ!」

青ざめて目覚めるとすぐ横からコツリと音がしてガチャポンが
落ちた。夢の中のガチャポン・・ミミズから僕が奪った・・!
僕は幽霊はいると信じていたからこの偶然が偶然に思えなかった。
それから5日間ほど僕は似たような夢を見続け、ミミズがすぐそばで
睨みつけている感覚がどうしてもとれず日に日に食欲がなくなっていった。

家族はもちろん僕の周囲の人たちも僕の異変には気づいていたようだが
大切な友達が亡くなったショックだろうと思って当然だった。

「・・悪かったよ・・許して・・!」何をすれば許されるのか
考え続けていた。そしてふと気づいた、というかなんでそれまで気づかなかった
のか。夢の中でもガチャガチャがでてきてたじゃないか・・もしかして返せば
ミミズも無事成仏してくれるんじゃないだろうか・・と。
そんなことで許されるもんなのか・・でもとりあえずこれはもともと
僕のものじゃないんだ。返さなきゃいけないんだ。

804 797 sage 2008/08/23(土) 13:36:49 ID:m5Sp02uX0
ミミズの家に呼びかけるとミミズ兄だろう人がでてきた。意外とミミズには
似てない目をしていたが表情をギョッとさせた、というのも僕の顔が相当
やつれていたらしい。。
「僕××(ミミズの名前)くんの友達です。それで・・これ・・」
「・・あ、これか。あいつ。。君に渡してたんだね」
「はい・・あの、お返しします」
「いいよ。あげるよ。最後に君にわたしたんだろ?」
「返します お願いです・・お願いだから」
泣き崩れてしまった。もう子供の僕には限界で全て話してしまいたくなって
ミミズ兄に夢のことなど全て話してしまった。ミミズ兄は長い間黙っていた。
「そうか・・そんな夢を見ちゃったんだね 怖かっただろ」
「・・当たり前なんです。あいつにひどいこと沢山したし・・!」
「でもさ、○○くん。あいつはそんなたたるような性格してないよ。」
「・・・」ああ確かにミミズが人を恨んでたたるような性格には見えなかった。
「きっと夢とか××の気配とかもさ、○○くんが自分を責めるから見えたり感じたり
するんじゃないかな。」
「・・・でも・・」
「・・それに実をいうと、あんまり人には言ってないんだけど君には特別に
教えてあげるけどね」
「はい・・・?」ミミズ兄は声を潜めて話し始めた
「俺霊感あるんだ。親にも内緒にしてるんだけどね。今君の周りにはなんにも
いないよ。もちろん××も。」
「ほんとに?」
「本当さ。いいか、結構幽霊とかって人の勘違いが大半なんだよ。君は反省
してるんならそれでいいじゃん、な!」
僕は単純だったこともあって霊感があるという人が僕の周りに何もついて
いない、というその言葉だけでスーっと肩が軽くなっていった。

この怖い話にコメントする

ミミズと僕
関連ワード