洒落怖
奈落

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768 本当にあった怖い名無し 2009/09/11(金) 01:51:59 ID:3mUWYeat0
普段の練習で奈落をとおるコトはなかった。
だが、リハーサルの時は必ず通らなければならない。

そんな話しを聞いてオレは少し悩んでいた。決してビビッたわけではない。
オレは人よりは霊感を持っているほうだ。
初めて体験したのは6歳ぐらいの時だった。お盆の時にトイレにいって出てくると右側にあった窓から何か人のようなものが覗いているのが見えた。
それ以降(今でも)お盆では寝る時に枕の近くに誰かいる気配を感じる。
それ以外の場所でも色々あったんだが、今はその話ではないので省略。

そのせいで、もしそこを通ったら何か起きてしまうんじゃないか。
そんな不安があった。
しかし、今通らなくてもいずれは必ず通らなければならない道である。
気にしなければ何事もなく通れる。そう自分にいい聞かせて遂に奈落をとおるリハーサルの日を迎えた。

劇は始まった。オレが奈落を通るのは劇の終盤。
いつもの練習どおりに話しは進行していく。
「じゃぁ、そろそろ行きます。」
舞台袖にいた人達にそう告げてからオレは奈落へと向かった。

舞台袖から階段を下りて奈落への扉がある部屋へと移動する。
もう片方の入り口にはないのだが、オレが入る側の入り口はまず物置のような部屋があってそこから扉をあけて進むのだ。
部屋に入ると衣装チェンジを行っているN先輩がいた。
「あとちょっとだから、頑張ろうね♪」
「はい」
そう答えてオレは奈落への扉に近づいた。
初めてみた奈落の扉はバイオハザードの警察署の扉みたいな雰囲気だった。
中の電気はなぜか点いていない。
接触不良なのか何なのか、点いてる時と点いてない時があるのだ。
その日は点いていなく、懐中電灯を片手に扉をあけた。

784 本当にあった怖い名無し sage 2009/09/11(金) 05:01:44 ID:tvTQWeUP0

奈落の中は椅子がずらーっと並んでいた。
先でも述べたとおり、講演会などでも使用する場所だったのでそういうときのための補給の椅子が置いてあった。
5メートルも進まない時だった。突然後ろから
「ねぇ」
と女の人の声が聞こえた。オレはN先輩だと思い。
「はい、なんですか?」
と答えた。
・・・返事はない。
オレは後ろを振り返った。
入ってきた入り口の扉が開いている。そこから向こう側の部屋が見れた。
誰もいない部屋が。
オレはゾクッっとした。きっと自分の聞き間違いだろう。あんな話しを聞いてしまったから何かの音を聞き間違えたんだ。
そう言い聞かせて先へ進もうとした。
「ねぇ」
ハッキリと、女の人の声がオレの耳に届いた。錯覚ではなかった。
心臓の鼓動はかなり高まり、冷や汗がでているのがわかる。
「ねぇ」
その間も声はする。
オレは走って向こう側の入り口へと向かい、外へでた。

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