洒落怖
さえがみさん

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742 本当にあった怖い名無し sage 2009/05/19(火) 17:11:02 ID:qJxg8rr60
俺は子どもの頃は超がつくド田舎に住んでいた
山々に囲まれた閑静な農村地帯だった

その村では一年のうちである月の満月の日の前後一週間は絶対に山に入ってはいけないという決まりがあった
村の子どもたちにはその期間は山の神様が降りてこられる日だからと聞かされていた
その期間は山の入り口のところにある道祖神様(俺らは「さえがみさん」って呼んでた)の祠の前で山から村に入る道に注連縄を張って道祖神様を御祭りしていた

このお祭りの間は子どもだけでなく大人たちも決して山に踏み入ることは許されなかった
村の子どもたちは物心ついたときから厳しく戒められているのと、山に入っても楽しい時期でもなかったこともあってわざわざ叱られるのを覚悟で山に分け入るやつはいなかった
とはいえ、腕白盛りの子どもたちのことだから、それでも数年に一人か二人は無謀にも山に入ろうとする馬鹿が現れるのが常だった
隠れて山に入ったのが見つかったやつは厳しく叱られて頭を丸坊主にされて学校を休まされた上で隣村にある神社で泊り込みで一週間修行させられるというお仕置きが待っていた
それを見た村の子供たちはお仕置きを恐れて期間中は山に入らない→世代交代した頃にまた馬鹿が現れる→お仕置きを見て自重→忘れた頃にまた。。。ということが繰り返されていた

ここまでの話だと、田舎によくあるわけのわからない風習で終わってしまうのだけど、俺が小学6年のときにその事件は起こった
起こったといっても俺自身が”何か”を見たというわけではないし、”それ”自体も単なる村の風習と精神錯乱で、オカルトとは関係ないと言われればそれまでかもしれない
ただ、村の禁を破って山に入った俺の従兄弟の妹が精神に異常をきたしてしまい、その兄も責任を感じてかその後おかしくなってしまったという事実だけが残っている

その年は従兄弟の親父さんがお盆に休みを取れないということで、お盆の帰省の代わりに季節外れのその時期に一家四人(両親と兄と妹)で里帰りしてきた
普段だったら誰も訪れないような時期のことである
そして、それが全ての間違いの元だった

743 本当にあった怖い名無し sage 2009/05/19(火) 17:12:06 ID:qJxg8rr60
村の子どもたちはその時期に山に踏み入ってはいけないと厳しく教えられていたが、従兄弟たちは普段はこの時期には村には帰ってきていないのでそのことは知らなかった
祖父と祖母が従兄弟たちにそのことを教えたが、都会育ちの従兄弟たちにとってはイマイチ理解できていなかったのかもしれない
あるいは古風な村の風習だということで迷信だと馬鹿にしていたのかもしれない
今となっては知るすべもないことではあるが

従兄弟たちが普段帰省してくる夏休み中であれば俺たちも学校が休みなので一日中つきっきりで遊びまわれるが、あいにくとその時期は平日で俺たち村の子どもたちは学校に行かなくてはいけなかった
学校が終われば俺たちは従兄弟たちと一緒に遊ぶわけだが、少なくとも午前中は従兄弟たちは彼ら兄妹だけで遊ぶことになる
俺たちが学校に行っている間は祖父母が山に入らないように見てたりするわけだが、さすがに常につきっきりというわけにはいかない
それでもまぁ、3日目くらいまでは従兄弟たちはおとなしく祖父母の言いつけを守っていた。。。少なくともそう思わせていたわけだ

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