洒落怖
さえがみさん

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問題が起こったのは従兄弟たちが村にやってきて4日目のことだった
さえがみさん(道祖神様)の御祭りも丁度中日でその日が満月の日だった
俺たちが学校に行っている午前中に、祖父母に隠れて従兄弟の兄(Sとする)が妹(Y子)を連れ出してこっそり山に入ってしまったらしい
Sは祖母に「妹と川で遊んでくる」と言って出かけたそうだが、俺たちが昼頃に家に帰って(土曜日だった)川にSを探しに行ったら姿が見えなかった
最初はもしかして事故かと思ったけど、川に行くときにいつも自転車を止めさせてもらうことになっている友人のDのおばちゃんに聞いたら「朝から来てない」とのことで、俺は友人たちと一緒にSたちを探すことにした
そうしたら友人のTが山の入り口の近くの木陰にSの乗っていた自転車(祖父の家のやつ)が隠すように老いてあるのを見つけた
あいつら、隠れて山に入ったのかと思って追いかけようとしたけど、厳しく山には入るなと言われていたこともあって、その前に祖父に知らせることにした

744 本当にあった怖い名無し sage 2009/05/19(火) 17:13:09 ID:qJxg8rr60
家に帰って祖父に知らせたところ、祖父は「それは本当か!」と普段は温和な祖父らしくない形相で聞いてきた
それを聞いた祖母は血の気の引いた顔をしていた
叔父(Sの父親で祖父の子で俺の親父の弟)も心なしか顔色が悪かった
叔母(Sの母親)は何が起こっているのか理解できていない様子だった
祖父は俺から話を聞いてすぐにどこかに電話していた

そのあとはもう大変だった
村の青年団がさえがみさん(道祖神様)の社のある山の入り口に集合して、長老たちが集まって何事か話し合っている
いくら村の決まりごととはいえ子どもが山に入ったくらいでこれはないやろと思ったのを覚えている

そのあとのことだけど、青年団が山の入り口に集まってしばらくした頃にSが何かに追いかけられるかのような必死の形相で山道を駆け下りてきた
それを見た祖父がさえがみさん(道祖神様)のところに供えてあった日本酒と粗塩の袋を引っ掴んで酒と塩を口に含んでから自分の頭から酒と塩をぶっ掛けて、それからSのところに駆け寄ってSにも同じように頭から酒と塩をかけていた
その後でSにも酒と塩を口に含ませていた
酒と塩を口に入れられたSはその場でゲェゲェと吐いていた
Sが吐き出すもの全部吐き出してから祖父がSを連れて戻ってきた
祖父とSが注連縄を潜るときに長老連中が祖父とSに大量の酒と塩をぶちまけるようにぶっかけていた
その後、Sは青年団の団長に連れられてどこかへ連れて行かれた(あとで聞いたところによると隣村の神社だったらしい)

745 本当にあった怖い名無し sage 2009/05/19(火) 17:14:45 ID:qJxg8rr60
妹のY子だけど、何故か祖父も含めて山に入って探そうとはしなかった
不思議に思って父に聞いたら「今日は日が悪い」と言って首を横に振るだけだった
叔母が半狂乱になって「娘を探して!」と叫んでいたが、悲しそうな諦めの混じったような表情の叔父がそれを宥めていたのが印象に残っている
結局、Y子はそれから4日後に山の中腹にある山の神様の祠で保護された
後で聞いた話ではそのときにはもうY子は精神に異常をきたしていたそうだ
発見された後でY子は何故か病院ではなく、兄と同じく隣村の神社に送られたらしい
このとき、村の長老たちの間で一悶着あったらしいとかなり後になって父から聞いた

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