洒落怖
黄泉の世界

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皆さん、こんばんは
今宵も暑いですね。自分は某都内の大学で古代史を専攻している者です。
専攻は古代史ですが、考古学も学んでいるので発掘調査にも参加しています。
発掘調査なんてものは場合によっては墓荒らしと大差ないんです。
故に色々と出てきます。誰だって自分の墓を荒らされたい人なんていないとおもいます。
古代人も同じなんですかね。
今から書き込ませてもらうのはそんな自分が体験した古墳発掘調査の時のお話です。
まあ、ほんの一例ですが

136 本当にあった怖い名無し sage 2010/08/12(木) 20:10:17 ID:IU9fOyvJ0

 この話は自分が長野県の某古墳群の一つF11号墳の発掘をしていた時の事です。
時期は暑い夏、何もしなくても汗が出てくる。
ギラギラと照らす太陽の下、ずっと移植ゴテ(簡単にいえばスコップ)を使って穴を掘る。
相当気がめいってくる作業ではあるが古墳を掘れるのは滅多にない。皆気合いが入っていた。
しかし手違いというものは必ず起るものだ。
 普通、古墳を掘る時はお祓いをしてから古墳を掘るのが大学の風習であった。
去年は同じ古墳の測量調査をしたのだが、その時も近所の神社の神主さんにお祓いを依頼したのを覚えている。
だが、今回はお祓いをしていなかったのだ。そこら辺は大学の校風もありしっかりしていたのだが今回はなぜか皆頭からすっきりと欠落していた。
この時点からいろいろおかしかったのかもしれない。
皆、もう発掘の始まってしまっているし今更お祓いをするのも締まりが悪いという事でこの件には触れないようにしている。
自分はその時どうも気持ちが悪かったのを覚えている。
だけど教授の手前、下っ端の自分は黙って指示に従っていた。
 

137 本当にあった怖い名無し sage 2010/08/12(木) 20:12:53 ID:IU9fOyvJ0
 発掘現場は順調に進み、少し余裕が出てきたので周辺遺跡を少し回ってみようという事になった。
長野県には弘法山古墳や森将軍塚古墳等、考古学的に重要な遺跡が多い。
皆、発掘の一息には丁度良いという事で何班かに分かれて二代わりで行く事になった。
 数日たち、自分の班が行く日になる。その日も猛烈な暑い日だった。
うだるような日の中、遺跡に向かい車は走っていく。
今から行く遺跡は○○古墳群という場所は積み石でつくられた古墳が二百以上も群集しているという特徴的な遺跡だ。
これは自分たちの大学とは違う大学が発掘しており、某大御所研究者が死ぬ直前まで発掘をしていたらしい。
自分もまだいった事がなく結構楽しみにしていたので少々興奮気味だったのを覚えている。
山間の谷沿いに数えきれないほどの古墳がある。まるで自分たちが眠る場所を守るかのように谷間を埋め尽くしている。
自分たち以外には見学者は一人もいなかった。暑い中鬱蒼とした木々の中を五人ほどで歩いていく。
静かな森の中、自分たちの足音しかしない。ザクザク、ザクザク、そんな音が谷間に反響している。
今から思えば異様な光景だと思う。
 この○○古墳群は保存状態がとても良く石室も羨道も完璧に残っている古墳も多い。
その石室の一つに入り、ライターで回りを照らす。石室の中は涼しく、真っ暗だ。
光を照らさなければ何も見えない。今回はライトを持っていなかったのでライターで代用した。
火に照らされた石室は妖艶に揺らめき、この世のものとは思えない。ゾッとした感覚に押され、石室内から出た。

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