洒落怖
死ぬかと思った話

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全然、心霊とかメンヘラと遭遇した話でも無いが 
本当に死ぬかと思った話をします。 

俺はかなり田舎の方に出張していた時の話。 
いつも通りディスクワークで訛った身体をほぐす為、家に帰ったらまずジョギングするのが俺の趣味だった。

その日は少し寒い日だったからネックウォーマーをして行ったのを覚えてる。 
本当なら町沿いのコースを走るんだが、田舎に来てからずーっとそのコースだからマンネリ化してて、たまには農道を走ろうと思いたった。 
まあ知らない道でそんな長い時間走るつもり無かったし、30分かそのぐらいで帰るつもりだった。

だけど道を進むと不思議な物で、好奇心が湧いて来る。 
もっと奥へ、もっと奥へ奥へという感じで、進んで行き、ついに外れの中学校付近にまで来てしまった。 
時間を見るともう21時ぐらいで、ちょっと走り過ぎちゃったなと、そのまま引き返そうとした。

すると前から人影のような物が見えた。 
過疎化が進んでるド田舎だから俳諧老人かなと目をこらしたんだ。 
俺から20mぐらい手前の街灯に照らされて、ようやく姿を確認できた。 

そいつは熊だった。

全身の血が引くってこの事を言うんだな。 
頭の中が真っ白になり、行動できなくなる、俺はそいつをただ見ていた。 
そしてふと瞬間的に俺は意識を取り戻す。 
いつの間にか独特の「ヴー・・・ヴー・・・」という息遣いが聞こえる距離になっていた。 
そいつは本当に俺よりデカいか同じぐらいだった。 

「ヤバイ!!」 

そう思って、踵を返し全力疾走した。 
でも走りだした瞬間に気づいた、熊の対応法で一番やっちゃいけない行動をやっちまったと。 
慌てて後ろを見たが、遅かった。 

あいつは俺に向かって駆け出していた。 
あんなに体がデカいのにアイツらのスピードってハンパ無いのな、すぐに追いつかれそうになる。 
そんな窮地に置かれた状況で、俺は急に昔田舎のじいちゃんちに行った時の事を思い出した。

じいちゃん曰く、「熊は前足が比較的に短いから、下り坂が苦手」らしい。 
道がそれた所に藪のある坂があるので、そのに飛び込むように入った。 
木の枝とか茨とかが体に当たって物凄く痛かったが、滑り下った坂の上を見るとあいつが下ろうとしてるのが見えた。

俺は藪の中を痛み耐えながら、走り進んで行くことにした。 
当然さっきみたいに全力疾走できないし、なにぶん道が悪いから転がるみたいに降りていたと思う。 
それでもあいつの息遣いが近づいて来るのがわかるので、生きれるなら足がどうにかなってもいいぐらいの気持ちでその時は走っていた。 
そうすると川に出て、俺はそいつからいくらでも離れる為に川を横断して反対側に出ようとした。 
川の反対側が俺の住んでる街の近くだと知ってたしね。 

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