洒落怖
廃墟探索

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920 光塵船 New! 2011/12/02(金) 17:32:00.22 ID:TQzRxFzv0
俺たちは色々な話をしながら長い橋を渡った。ゆく先も無く。こんな夜はこんな風にやってはな
らない。何かが自分たちを導いている。無意識でさまよってはならないのだ。俺たちは別の人工
島に入り、見たことのない公園に少しの間居ただけで、また元の方角を向いた。どうして自分が
あの時Kさんから聞いていた廃墟の話をGに話したのか分からない。先の恐怖を別の恐怖で誤魔化
そうとしたのかも知れない。僕が持っていた情報は、M町あたりにある廃墟で、中に棺桶がびっ
しり並んだ部屋があるということだけだった。僕がGに話したのは、どうせ見つからないと思っ
ていたからかも知れない。しかしGはその話に興味を持ち、その廃墟を探すことになってしまっ
た。もう夜の一時を回っていたのに。僕はその街で子供時代を育ったので、廃墟のありそうな場
所にはいくつか心当たりがありました。しかし、朽ち果てた家々や不気味な廃墟をいくつか見つ
けるも、どうもそれらしいものが見つからず、足を棒にしてM町から随分離れたところまで探し
ました。僕たちがこんな目に遭ってもまだ歩き続けているのは、この夜の過ごし方を分からなかっ
たからかも知れません。私たちは深夜三時頃、ついに見つけました。

921 光塵船 New! 2011/12/02(金) 17:32:38.10 ID:TQzRxFzv0
それは一見してそれと分かった。圧力が違った。私たちを殺しにかかっているかのようだった。
見た瞬間、飲みながら歩いていたウィスキーのアルコールがすべて失せるのを感じた。

圧倒された私たちは、入り口の前に立つことすら出来ず、建物の周りを亡者のように二周した。
驚くべきことに、廃墟から二十メートルほどの場所に、私が通っていた幼稚園があった。また、
さらに近くには幼児期に入院した病院まであった。嫌な感じだった。

扉は開いていた。閉まることのないよう、小ぶりのタイヤが挟んであった。これから私はここに
入るのかと思うと、生理的嫌悪感で一杯になった。それはラブホテルの廃墟らしかった。建物の
東側の外壁に屋上から地面まで青い網をかけてある。意味が分からない。10cm程空いた扉の隙
間から、iPadで明かりを入れる。様子を伺う。木の腐った臭いがする。次に紙の腐った臭い。わ
ずかに押し開ける。ほんの20cmほどの隙間からはすぐ左に積まれた本の山しか見えない。古い
本ばかりだ。それも、内容に整合性が無く、背には図書館のラベルが貼られたものが多い。私た
ちはついに扉を開き、足を踏み入れた。何かがある。足元を照らす。何かが散乱している。足を
踏み込む。音を立てる。床が腐っている。木の腐った臭い。椅子。小学校の教室で使う椅子。五、
六脚。楕円を描いている。内を向いている。中心は。光を上げる。祭壇があった。

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