洒落怖
テンポポ様

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673 本当にあった怖い名無し sage 2011/07/27(水) 17:52:03.06 ID:MtTpUC540

俺を乗せた車は街灯もない田舎道をしばらく走った後、静かに停車した。
車に乗ってからというもの、大人たちの発する異様な雰囲気に、俺は最早借りて来た猫のように縮こまり、
停車した時には少し安堵したのを覚えている。
車から降りると、その場には俺と同年代だったA・B・C・Dがいた。
皆一様にして顔色が悪く、10日前には考えられないほどやつれている。
きっと俺も彼らと同じようになってしまっているんだろうなとげんなりしていると、
白装束を着た大人の一人が俺達の前に出て来た。

「今からお山に入る。分っているとは思うが、俺達が良いというまでは口を開くなよ。」

俺達と同じ白装束に身を包み、顔には同じく白い布をかぶせていて、その男の表情は読めない。
しかし、その真剣な様子から俺達はビビりながらもその男の言葉にうなずいた。

674 本当にあった怖い名無し sage 2011/07/27(水) 17:55:23.14 ID:MtTpUC540

山に入ってからはまさに地獄だった。
普段から人の入る山ではないので、道などあるはずもなく、落ち葉を踏みしめ、
雑草を踏みつぶしてただ黙々とお山の頂上を目指して足を進める。
食事制限と眠気のせいで、平地でさえ足元が覚束ないのに、
まだ日の昇っていない山道を一言も声を上げる事すら許されずに登っていく事の辛さが分るだろうか。
ましてや当時の俺達は子どもである。何故こんなにも辛いことをさせられるのか分らず、正直逃げ出したい気持ちだった。
しかし、逃げ出すことは叶わなかった。なぜなら、俺達の周りには先ほどの男を先頭に、
俺達を囲むようにして男と同じような格好をした大人達がいたのだ。
俺達は何とも言い難い雰囲気の中、道なき道を延々と上り続け、
そしてたどりついた先には小さなお社があった。
何を祀っているのか今となっては確認のしようもないが、
その小さなお社は子どもが10人入り込めば満員になってしまう程の大きさであった。
大人たちは俺達5人をそのお社に押し込むと、一人一人に酒と塩を配りながら静かに口を開いた。

「それを飲んだらお前達には一人づつお山を下りてもらう。
このお社を出たら、どんな道順であろうと真っ直ぐに麓を目指せ。
さっきも言った通りこのお社から出た後、お山を降りるまでは決して口を開くなよ」

675 本当にあった怖い名無し sage 2011/07/27(水) 17:58:06.98 ID:MtTpUC540

それからその男は、

・このお社の中であれば俺達同士で話をしても良い事
・何があろうと決して後ろを振り向かず、声を上げない事
・太鼓の音が聞こえたら、年少者からお社を出て麓を目指す事

を俺達に伝えると、お社の外で待機していたらしい他の白装束の大人を引き連れてお社を出て行った。

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