洒落怖
浮かぶ顔

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ゼーゼーと呼吸を繰り返す。トンネルからの風の音が大きくなった。
敦さんの姿が見えてきた。ゆっくりと歩いてくる。
まるで森林浴で周りの景色を楽しんでいるかのようにこちらに向かってくる。
少し離れた所で中腰になっている僕をニタニタしながら見つめていた。
「ああいうのは、こういうトンネルには普通にいるもんだ。
ここで人は死んでない。人が死んだらあんな顔は見えやしない。
強力なやつがいたら、顔は出せないのさ。人の噂が人の霊を呼ぶんだ。」
聞いてもいないのに解説が始まった。
「突然…叫ばなくたっていいじゃないですか…。」
「知ってるか?霊も恐怖を感じているんだぜ。あいつら俺にびびって逃げたよ。」

さっ、帰るぞ。とスタスタと来た道を戻って行った。
もう二度と行くもんかと誓ったが、この先何度も溜まり場に顔を出す。
それに気付くのはそんなに遠くはなかった。

長文失礼。お邪魔しました。

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