洒落怖

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240 首1 sage 2007/10/18(木) 15:36:22 ID:iGygA+4g0
>>225で「父の話」を投稿した物です。
暇だったので、もう一個。

「父の話」で、私の父がレストランバーを経営している話を少しした。
今現在経営している店舗は1店舗だけだが、少し前までは2店舗の経営を行っていた。

その2つ目のお店の話。

その店舗は元々、父の友人とその母親が二人で経営をしていたお店だった。
しかしその母親が亡くなってしまい、人手が足りずに立ち行かなくなったので、
友人が父にお店を貸すという形で経営を引き受ける事になった店だった。

引き受ける、と言ってもまるまる同じ形で経営を再開する訳ではない。
経営者が父に代わり、開店時間やメニューの内容、お店の雰囲気もがらっと変える事になったので、開店準備のために約1ヶ月、掃除や冷蔵庫の搬入などの期間があった。

241 首2 sage 2007/10/18(木) 15:38:57 ID:iGygA+4g0
その準備の初日。私は両親に無理矢理店舗準備に駆り出されて、嫌々ながら付いていった。
駐車場で車から降りた時はなんとも無かったのだが、裏口に回った途端、くらっとくるような頭痛に襲われた。

これまでそんな風に体調が悪くなった事がなかったので驚きと痛みでしゃがみ込むと、目の前にそれなりに大きな柿の木と、その根元に置かれているマネキンの首が飛び込んで来た。

「ぎゃっ」

と思わず悲鳴を上げると、裏口の鍵を開けていた父がこちらを振り返り、
「大丈夫かー?」
と暢気に聞いてきた。

「あれ何?めっちゃ怖いねんけど…」
怖くて指を差せず、目線でマネキンを示すと父は納得したように頷き
「よく知らんねん。ずーっとあるみたい。」
と言い、さっさと中に入っていってしまった。

私も、その場から逃げるようにして中に飛び込み、ドアを閉める。
振り返った時、マネキンと視線がばっちり合ってしまいもう一度「うわぁ…っ」と情け無い声を出してしまった。

裏口を入るとすぐ厨房になっている。客席と平行するように真っ直ぐ伸びた厨房は、今入ってきた扉を中心にT字に広がった変わった構造をしていた。

ドアを閉めたというのに、まだ向こう側からマネキンに見られている気がする。
あれだけ怖い物なのに、霊感が強い父が気づいて無いはずが無い。

242 首3 sage 2007/10/18(木) 15:41:28 ID:iGygA+4g0
慌てて父の傍に行き、必死でアレはヤヴァイと言い募ると、父はコップを磨きながら
「分かってる分かってる、今度知り合いの業者に一緒に持って言ってもらうから」
とのんびり答えた。それまでは気にするな、と言いたいらしい。
というか、捨てるのかよ…とか、お祓いしなくて大丈夫か?とか色々思ったのだが、その時は言わなかった。

それから一週間ほど、何事も無く開店準備は進み、私は相変わらず出入り口に鎮座するマネキンの首にビビる日々が続いた。

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