洒落怖

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ある日、お店に行くと、いつも首の部分を根が生えてるんじゃね?というぐらいがっちり下に向けていたマネキンの首が、横向けに転がっているのを発見した。
その時はすでに、オープンスタッフとして新しいアルバイトの人も手伝いに来ていたので、多分誰かが蹴飛ばしたのだろう、怖い物知らずだなぁ…と思っただけだった。

その後30分ぐらい、全員で床掃除をしていてふと私が裏口から外に出た時、
30分前まで転がっていたはずの首が、また同じ場所でいつもと同じようにいつもと同じ角度でこちらを見ているのに気づき、
さぁっと体中に鳥肌が立った。

この30分の間、裏口から出入りしたのは私一人だけだった。
人数が少なかったので間違いない。
近所の人が首を起こしたのか?とも考えたが夜中の11時にわざわざ店の裏側
(しかも裏にはそれなりに大きな用水路がある)に来るご近所さんが居るとは思えない。
何より、ただ起こすだけならあの角度にする必要は、無い。

243 首4 sage 2007/10/18(木) 15:43:50 ID:iGygA+4g0
ドアを開けたポーズで完全に固まっていた私は、慌てて凄い勢いでドアを閉める。
背中にはシャツがべたべたになるほどの冷や汗をかいていた。

マネキンの首が、勝手に起き上がった…?

半泣きになって動けないでいると、ドアを閉める爆音に驚いた父がこちらに近寄ってくる。
「どうしたんや、そんな勢いでドア閉めたら壊れるやろー?」
こっちは死ぬほど驚いているのに、なんとも暢気な物である。

マネキンの首の事を、恐怖にどもりながら伝えると、父は少し真面目な顔をして
「今日はもう帰ろうか。」
と言って、皆に片付けの指示を始めた。

その後、裏口ではなく表にある店側の出入り口から店を出た。

次の日の夕方、植木屋が伐採した枝葉と共に、マネキンの首を引き取ってくれる事になった。
植木屋が父の顔見知りだったらしく、一緒に焼却処分してくれるという事だった。

後日、お店が開店をしてオープン後のばたばたが過ぎた頃に、マネキンを引き取ってくれた植木屋さんがご飯を食べに来てくれた。その時に、ふと例のマネキンの事が話題に上った。

「そういえばあのマネキンの首、うちの大将(植木屋の社長)が見て驚いてたで。」
「え、何がですか?」

244 首5(ラスト) sage 2007/10/18(木) 15:45:20 ID:iGygA+4g0
「俺はそういうの信じてへんねんけどな、大将は霊感っちゅーのがあるらしくって、マネキンの首見て『えらいもん引き取ってきたな!』てびっくりしてたわ。アレ、相当危ないもんやったみたいやで」

「それで…?」
「うん、まぁ近いうちに焼くかぁと思って、焼却炉の上に転がしておいたんやけどな、次の日その前通ったら、マネキンの首が起き上がっててん!びっくりしたわー。
夜中に作業場の辺りは近所の奴は入れへんし、スタッフの誰かが触ったんか思て聞いて回っても誰も触ってないって言うし…
社長が早く焼いて来いって言うから、その日のうちに焼いたわ。」

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