洒落怖
婆さんを捜して

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と、背後に嫌な気配がした。

619 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/05(金) 04:44:35 ID:xfptnP3/0
8/11

う”お”お”お”お”ぉ”ぉ”・・・

しまった!前にばかりいると思っていた亡霊達が後方にもいた
のだ。囲まれているぞ・・・俺と親父は青ざめた。咄嗟に鳥居
を置くが見る見る焦げてゆく。残りは12枚、つまり3回分しか
ない。とてもじゃないが夜明けまでもちそうにない。。。

婆さんは高台の祠に向かって一心不乱に祈祷をしている。誰の
目にもまともな状態ではないのが分かる。鳥居が凄まじい勢い
で火を噴出した。戦国武者の亡霊が目の前を横切ってゆく。触
れただけで魂を抜かれそうだ。。。

いよいよ最後の鳥居が燃え尽きようとしている。空は薄っすら
と明るくなってきてはいるが、とても日の出まではもたない。
親父は自分のお札を俺の首にかけると、鳥居が燃え尽きたら全
力で麓まで走るように指示し、俺の体に塩を塗りたくった。

と、いつの間にか目の前に婆さんが立っていた。

「おやおや、こんな所にも山さん(亡霊のこと)がおったがねぇ」

そう言うと婆さんは何かの印を結んだかと思うと、周囲の亡霊
達が一斉にこちらに向けて歩き出した。「婆さん、俺だよ!わ
からないのかよ!」と怒鳴ったが正気ではないからなのか俺達
を亡霊だと思っている。

620 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/05(金) 04:47:27 ID:xfptnP3/0
9/11
そして鳥居が燃え尽きた。親父は逃げろと言ったが恐怖で足が
動かない。婆さんはヒャ~ッヒャッヒャッヒャと笑っている。
その様は完全に人間ではなく、物の怪に取り憑かれているのが
わかる。

婆さん・・・

かつて呪いから俺を助けてくれた婆さん。その姿はもうここに
はなかった。首からかけたお札が2枚とも弾け飛んだ。俺と
親父は地面にしゃがみこんだ。もうダメだ・・・俺は死を覚悟
した。と、その瞬間ポケットから何かが転げ落ちた。

う”っ ぐっ・・・

婆さんの様子がおかしい。足元を見ると、かりん糖が転がって
いた。俺は咄嗟にそれを拾うと婆さんのクチの中へ詰め込んだ。

ん゛ん゛~ん゛~~う゛う゛う゛~゛ん゛

婆さんの中から何かが飛び出した気がした。婆さんは完全に取
り憑かれていたのではなかったのだ。

お”の”れ”ぇ”・・・

622 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/05(金) 04:50:17 ID:xfptnP3/0
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婆さんの体から飛び出た、強い怨念の塊のようなものが叫んだ。
瞬間、物凄い突風が渦巻き状に吹いて、亡霊達を吹き飛ばした。
俺は何が起こったのか分からなかった。

怨霊の塊が婆さんのクチを借りて何か言った。

「おのれ口惜しや!こやつには・・・こやつには強いxxxが憑いて
おるから落とせん、口惜しやぁ」(xxxはよく聞こえなかった)

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