洒落怖
ピントが合わない

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よし、見つけた!
思わず拳に力が入る。
過去三ヶ月で「さとみ」からのメールは二十通程度だった。
彼女は俺の会社の同期で同じ部署、よく一緒に遊ぶメンバーに入っているようだった。違う会社の加藤にも俺が引き合わせたみたいで、加藤に同時送信したメールもあった。
「さとみ」の恋愛相談も受けており、全く知らない女性の悩みに、俺が答えているのを読むのは不思議な感覚だった。
もはやSさんがさとみさんであることは間違いなかった。
そして恐ろしいことに彼女は消えてしまっている。
俺や加藤の記憶、携帯やデジカメのデータから。
しかし彼女は痕跡を残すことに成功した。それが彼女の意思によるものかは分からないが。
携帯やデジカメは消したデータが残らないので完全に消えたのだろうか。
一応念のためにデジカメをパソコンに接続した。
新しいフォルダが出来ているかもと思ったが、見つからなかった。
ついでなので、デジカメ内の画像データをパソコン内のいつも入れる保存先にコピーした。
するとファイル名が変わった。
連続した数字のファイル名だったはずが、途中で何度も数字を飛ばし、結果的に最後のファイル名は携帯のものより4多い数字になった。
欠番が四つもできたのだ。
これは削除された画像ファイルと考えてよかった。
しかし全く腑に落ちなかった。何故パソコンにコピーしただけでファイル名が戻ったのか?
63 55 sage 2010/01/31(日) 13:40:25 ID:fXy0MD5bi

もう一度考えてみる。
最初、パソコンの中から昨日の出来事を記したドキュメントファイルを見つける。
携帯、デジカメには痕跡なし。
加藤がメールで痕跡の残る画像を送ってくる。
メールのspamフォルダからさとみさんとのメールの痕跡を見つける。
デジカメのデータをパソコンにコピーすると、画像が削除された痕跡が見つかる。
・・・すべての痕跡は俺のパソコンから見つかっている。
俺はもう一度加藤に電話をする。
「おーさっきは悪い、コンビニ行ってた」
「ああ、それより、さっき俺のパソコンの方にメール送ったよな?」
「メール?送ってないよ。今日はまだパソコンも立ち上げてないし」
「え?昨日撮った画像はどうした?」
「ああ、昨日のうちにチェックしたぜ。きれいなもんだ。さすが俺だな」
「変なもの写ってなかったか?」
「変なもの?今のお前以上に変なものか」
「ああ、まあいいわ。なぁ、さとみさんて知ってるか?」
「誰だそれ?大丈夫か?お前本当に変だぞ」
「ああ、いや大丈夫。悪かったな」
じゃあな、と言ってなんとか電話を切る。
これでほぼ間違いない。
さとみさんの痕跡は、俺のパソコンの中にだけ残っている。
だが何故?
そこにパソコンへメールが届く。
65 55 sage 2010/01/31(日) 13:42:33 ID:fXy0MD5bi

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