洒落怖
ターザンごっこ

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「M!!」
「Mちゃん!!」

母のあせった声と友達の悲鳴交じりの泣きそうな声がして、私の世界は暗転しました。

903 本当にあった怖い名無し New! 2012/01/23(月) 21:57:30.31 ID:SHL8GCgj0
次の記憶で、私は気がつくと、奇妙な部屋にいました。
薄暗い部屋にランプがひとつ。けれど回りは蛍のような淡い光が飛んでいてあまり暗い印象を受けません。
私は固いベッドのような何かに寝ているようでした。
ひんやりとした何かが私の頭の上を覆っています。
水にぬれたタオルか何かだとおもった私は、もしかしたら保健室に運ばれたのかな、とおもいました。
おっかなびっくり薄目を開けると、若くて綺麗な長い黒髪を後ろで1本に束ねた女の人が
心配そうに私を覗き込んでいました。
だれだろう、保健室の先生じゃない。
そんなことをつらつらと、回らない頭で考えました。
すると女の人が私が目をあけたのに気がついて、ニコッと笑ってくれました。
当時美人のお姉さんがすごく好きだった私(というか、ただ単に年上のお姉さんが好きだっただけかもですが。お姉さんは可愛がってくれる人が
多かったので)はうれしくなって、万遍の笑みを浮かべて「お姉さん誰?」と聞こうと口を開きましたが、声が出ません。

904 本当にあった怖い名無し New! 2012/01/23(月) 21:58:51.29 ID:SHL8GCgj0
びっくりして口をはくはくと動かしましたが、声が出ず泣きそうになりました。
ついで起き上がろうとしましたが、体は鉛のように重くて上体を起すことができません。
また泣きそうです。
それを見てお姉さんは困ったように笑った後、後ろを振り返ってちょいちょいとなにやら
手招きをしています。
そのとき初めて、私はお姉さんが綺麗な金と銀の刺繍の入った白い着物を着ていることに気がつきました。
とても綺麗な着物で、今おもうとお嫁さんのきる着物みたい、とおもうのですが、
当時まだ幼稚園児だった私はお姫様みたい、とおもいました。
彼女の手招きした先に、私と同じぐらいの年の男の子がいました。
男の子は泣きそうな顔で、私を覗き込んでいます。

905 本当にあった怖い名無し New! 2012/01/23(月) 21:59:49.83 ID:SHL8GCgj0
黒い短髪でこげ茶の目の、知らないような、知ってるような、変な印象の男の子でした。
けれど名前はわからないので、きっと知らない男の子です。
男の子は私のおなかの辺り(ちょうどおへその上の辺)に手を乗せて口をはくはくと動かしました。
口から音はつむがれません。
男の子は必死に何かを私に言ってるようですが、音はありません。
もしかしたら音は在ったのかもしれませんが、とにかく私は男の子がなんと言ったのか、覚えていません。
ただはくはくと口を動かす男の子の表情が今にも泣きそうで、なんだかとてつもなく悲しくなって
私は大きな口をあけて泣きました。

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