田舎・地方の習慣
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759 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/07/13(水) 00:21:37.80 ID:JFAF3D700
じゃあ俺からも、ちょっとした小話を一つ。

もう7,8年も前になるし、伏せなくても何の意味ないから言うけど、俺の地元は大分県にあってね。
で、親父方の爺ちゃんの墓が、佐伯市内から少し内陸の方に入った辺鄙な場所にあるんだけどさ。
ぶっちゃけて言うと、本当にド田舎って言うのが相応しいくらい、疎らに建った住宅と何かを栽培してる畑くらいしか目に映るモノが無いのよ。

んで、ここからが本題なんですが、実はそんな田舎風景の中でも一つだけ例外的に目立つ建物があったんです。
コンクリート製の建物なんですが、これがまた地元の不良かなんかに荒らされているみたいで、壁中が落書きだらけだったのよ。
そんなんだから、緑と茶色が大部分を占めている中で嫌に映えちゃって、そこへ墓参りに行く度に気になって仕方なかった。

そして7,8年前、丁度高校生くらいの時かな。意を決してその建物へ従兄2人と俺で行くことになったんです。
ちょうど大人組は墓掃除の休憩がてら談笑してたし、咎められたら面倒なので、こっそり隠れるように建物まで移動したのよ。
で、その建物に着いた訳だけど、遠目で見ても目立つのに、近くに行くとまさに圧巻だった。
青、赤、黒、紫といった具合にカラースプレーで目茶苦茶に落書きされた壁は、正に一種の催し物の一種みたいだった。
中にはスゲーと思うほど上手いペイントもあったし、お下劣な絵をデカデカと書き殴っただけのペイントもあった。
いつの間にか俺たちは、その落書きを観覧することに夢中になっていた。

そんな中、従兄の1人で最年少のHがこう言いだした。
「どうせやけん、中入ってみらん?」
そう言われて建物を見たけれど、所々罅が入ってたり鉄棒が剥き出しになってたりで、少し危ないかなと思ったわけよ。
でも俺も入りたいしなぁ。どうしようかなー、と決めかねていると、もう一人の従兄のKが、
「上の階……は流石に危ないからダメじゃけど、一回くらいならいいんじゃないかな」
と早々に決めてしまいました。
最年長のKが言うんだし、まあ確かに突然崩れたりはしないだろうな、と勝手に納得した俺は、2人と一緒にその建物内に入り込んだ。

760 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/07/13(水) 00:23:19.85 ID:JFAF3D700

真夏の昼間とあって、思った以上に中は明るかった。
でも所々崩れた瓦礫があったりで、矢張り上の階は危ないから止めようと言う事になった。

想像通り……というべきか、当然の様に中も落書きだらけだった。
至る所にスプレーが撒かれ、どうやって描いたのか天井部分にまで落書きがなされてた。

そんな中、スゲースゲーと言いながら落書きを眺めていると、突然Hが「あっ」と喫驚な声を挙げた。
転んだのか、どうかしたのか。と心配になり慌ててHの声のした方へ行くと、そこにはHが棒立ちになって壁を眺めている。
「どうしたん? 何かあったん?」
少し心配になってHに声をかけると、ビクッと肩を震わせてHは俺の方に振りかえった。
「あ、いや。なんか気色わりー絵見つけたけん驚いただけなんやけど……アレ」
そういってHは壁の方を指をさした。
釣られて俺もそちらに目をやると、そこには真っ赤な塗料で塗られた魔方陣? みたいな円形の枠組みの中に花を描いたみたいな不気味なペイントが描かれていた。
そこへ声を聞いたKもやってきて、これは何だろうという話になったわけ。

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