洒落怖
ぐるぐる巻きの鐘

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64 8/11 2009/10/14(水) 00:24:17 ID:RQVGJyVv0
おばあさんから教えてもらったことによると、
このあたり一帯では昔、盲目の子供が生まれると
男も女もごぜさんにもらわれていったとか。
男はまた別のグループに引き渡され、女はごぜさんとして
一生を送ったそうです。この鐘は遠い昔には普通の鐘として
使われていたものが、いつしかごぜさんを呼ぶ合図の鐘として
用いられるようになったということでした。

その日の夕食、両親との会話の中でごぜさんの鐘の話になりました。
父親は役場勤務のため嫌でも耳に入ったようです。
私が「ごぜさんの鐘」というと両親とも「え」という顔になりました。

父「ごぜさんの鐘?」
俺「そう。ごぜさんの」
母「誰から聞いたの?」
俺「A婆から」
父「嘘だ~。本当にあったんだ。あれが?ぐるぐる巻きの。」
母「ねぇ。小さい頃は聞かされたもんだけど。」

65 9/11 2009/10/14(水) 00:25:29 ID:RQVGJyVv0
両親の話によると、ごぜさんの鐘とは確かにごぜさんを呼ぶもの。
ただし鐘が鳴るのは盲目の子供が生まれた場合に限らない。
寒村では子供を育てるのに厳しい年もあり、口減らしをしなくては
ならないこともあったとか。育てられない子供が出てしまった家では
両親が子供の目を潰し鐘を撞いたそうだ。ごぜさんの旅は辛くとも、
娯楽の少ない時代、行く先々では大切にされたそうだ。
そのうち、子供の目を潰すことができなかった両親が
鐘撞き小屋に子供を置き、ごぜさんの鐘をついて連れて行ってもらうのを
待つようになった。当然ながらほとんどの子供は凍死する。
住職は数え切れないほど多くの子供が冷たくなっているのを見つけ、
その服を鐘撞き小屋の柱に巻いて弔ってやった。

68 10/11 2009/10/14(水) 00:29:29 ID:RQVGJyVv0
そのうち、ごぜさんの鐘の周りで子供の霊を見たとか、
遭難したごぜさんの列が歩いているのが見えるとかいう噂が広まり、
風の強い日には両手で耳を塞いでもごぜさんの鐘の音が聞こえると言って
発狂するものまで出た。これでは、ということで鐘撞き小屋に
残されていた子供の服と荒縄で鐘をぐるぐる巻きにして
二度と鐘の音が鳴らないようにしたんだそうだ。

両親とも、子供の頃からごぜさんに連れていってもらうよ!という意味の
脅し(悪いことをした子供への警鐘)として
「ごぜさんの鐘鳴らすよ!」という言葉と上のような背景は
聞いていたものの、まさかあの鐘が本当にそうだとは思っていなかったそうだ。

69 11/11 2009/10/14(水) 00:30:31 ID:RQVGJyVv0
この一軒があってからもずいぶん経ちますが、
改めて思うことがあります。

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ぐるぐる巻きの鐘