後味の悪い話
容疑者Xの献身

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容疑者Xの献身

(映画版準拠です。原作は未読なので、原作との相違などがありましたら詳しい方フォローよろ。)

花岡靖子は中学生の娘・美里を女でひとつで育てつつ、ささやかな弁当屋を経営していた。そこに靖子の元夫、富樫が彼女の居所を突き止め訪ねてくる。富樫はDV・サイマーという絵に描いたようなDQN。
(美里への性的虐待も示唆するような描写アリ。) 美里に暴力を振るう富樫を靖子は行きがかり的に殺してしまう。その尋常ならざる物音に気付いたアパートの隣人・石神。靖子の経営する弁当屋の常連でもあり、密かに靖子に想いを寄せていた石神はすすんで隠ぺい工作に手を貸そうとする。しがない
高校教師の石神は、実は学生時代は将来を嘱望されていた天才数学者。家庭の事情で学究の道を断念、失意の日々を送っていた。

そして12月3日早朝、都内のグラウンドで死体が発見される。顔をつぶされ指紋を焼かれた遺体だった
が、警察は捜査の末富樫と断定、靖子は重要参考人としてマークされる。だが石神は、死亡推定
時刻の12月2日午後6時~10時、花岡親子に完璧なアリバイを用意していた。警察への対応方法につい
ても二人に逐一指示を出す石神。靖子のアリバイを崩せない警察は彼女の線を諦め、富樫が金銭トラ
ブルを起こしていた暴力団に捜査対象をシフトする。しかし、靖子クロの心証を拭いきれない内海刑
事・草薙刑事の両名は旧知の天才物理学者、湯川に相談を持ちかける。奇遇なことに石神と湯川は大
学時代の友人だった。(草薙も湯川の学生時代の友人なのだが石神との面識はなかった模様。)

56 : 容疑者X-2 : 2009/08/18(火) 09:45:44 ID:58mNlVaO0
一方、靖子は「かつて世話になった人」工藤と再会、デートを重ねるようになる。石神はそんな二人
を尾行し、工藤の身元を確認、彼に嫌がらせの手紙を送ったりする。ストーカーの一面を表しだした
石神に、靖子は「私の人生、つきまとわれる相手が富樫から石神さんに代わっただけじゃない!」と
娘相手にキレる。

湯川は当初この事件に乗り気ではなかったのだが、石神の才能・性格を知悉していた彼は真相を察知
してしまう。石神の隠ぺい工作の真実は「アリバイ工作」ではなく「遺体のすりかえ」だったのだ。
彼が得意とする数学の引っ掛け問題-幾何と見せかけて実は関数の問題だったり-のように。
石神は無関係なホームレスを殺害、その死体を富樫のものに偽装することで殺害日時そのものを一日
ずらし、花岡親子のアリバイを磐石なものとしたのである。靖子が富樫を殺したのは12月1日だった
のだ。

石神は靖子に手紙を二通託す。一通は今後の警察への対応を指示したものと「ストーカー」の証拠
となる手紙類、もう一通は読んだら焼き捨ててくれとした上で靖子への想いを綴ったものだった。
工藤・靖子へのストーカー行為すら石神の偽装工作の一環だったのだ。「工藤のことを調べて信頼
に足る男性だとわかった、今後は彼を頼りにするように。」と手紙に書き残し、石神は数々の証拠
物件(凶器となったこたつの電気コードや指紋を焼いたバーナーなど)を抱えて警察に出頭する。靖
子への思いを募らせてストーカーした挙句、彼女につきまとっていた前夫を殺した(靖子の関知する
ところではない)、というのが石神の書いたシナリオであった。

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