洒落怖
家に入れたくない理由

この怖い話は約 3 分で読めます。

かなり長い&語り口調なので、苦手な人は飛ばしてください。

中学一年生の頃、私(女)はいわゆる、ぼっちという奴だった。
完全に一人というわけではなくて、友達と普通に話したりはするけれど、特定のグループには所属していない、準ぼっちの立ち位置。
話しかけられれば話すけど、自分から友達に歩み寄ることはなかった。
ぼっちの人なら分かるかもしれないけど、要は、他人に興味がなかったんだよね。
クラスメイトの名前も中々覚えられなくて、友達の噂についていけない。誰が誰を好きだとか、ふーんそっかって感じで、中学に入っていきなり皆がそんな話に夢中になるもんだから、話に入る余地がなくなった。多分私だけ、まだ子供だったんだね。
流行りの携帯も私は持ってなくて、私は完全に”乗り遅れた”子だった。

私のクラスには一人、避けられてる女の子がいた。
別に性格が甚だしくアレとかそういうんじゃなかったんだけど、ちょっとお母さんが変な人でね。良くない噂が広まって、体面社会の中学で彼女に近づく人はいなかった。
でも、さっき言ったとおり私はぼっちで噂に疎かったから、そんなこと全く知らなくて、彼女に話しかけられた時も、普通に受け答えしていたんだ。そしたら、だんだん彼女、私しか話し相手が居なくなったみたいで、休み時間毎に私の机に来るようになった。
その頃には流石に私の耳にも彼女の噂は届いていたけれど、私は普通に彼女の友達をしていた。
彼女にとっての友達が私だけだったように、私の友達も、彼女だけだったから。
彼女もきっと、それを感じて安心していたのだと思う。

208 本当にあった怖い名無し sage New! 2012/12/27(木) 22:34:29.73 ID:oAt9Z5nmI
彼女とはいろんなたわいない話をしたけれど、家族の話だけはしなかった。多分、私も彼女も意図的に避けていたのだと思う。
私が彼女と仲良くなってからも、相変わらず彼女の母親の噂は耳に入ってきた。

夜中に家の近くを通ると奇声が聞こえる。
野良猫を捕まえて家の中に連れ込むのを見た。
新興宗教にどっぷりと浸かっている。
彼女に父親がいないのは母親が自殺に追いやったから。etc…

どれが本当でどれが尾ひれだったか、判断のしようはない。
もしかしたら根も葉もない噂ばかりかもしれない。
でも私は、そんな噂より、もっと恐ろしいものを彼女の家に見てしまった。
前置きが長くなったけど、私がそんな彼女と縁を切るきっかけとなった話をします。

209 本当にあった怖い名無し sage New! 2012/12/27(木) 22:35:05.98 ID:oAt9Z5nmI
夏休みが明けて間もないある日、彼女が風邪で学校を休んだ。
彼女が休むのは初めてで、久しぶりの話す人がいない学校での一日に、私が変な懐かしさと少しの淋しさを覚えていると、ふと私の頭にある考えが浮かんだ。
彼女の家に、プリントを届けに行ってあげようと思ったんだ。
帰る方向が私とは逆の彼女には、本来、別のクラスメイトがプリント係に割り当てられる。不運にもその係に任命された男子は、快く私にその役を譲ってくれた。
「お前ら、仲良すぎ。できてんじゃねぇの」
男子はヘラヘラ笑ってたけど、内心、かなり安堵してたんじゃないだろうか。

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