洒落怖
家に入れたくない理由

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もしかして、無理をして学校に来たのは、学校を休むと私が家に来るから?
そう考えるとそうも思えてくる。彼女は今日母親の話をしていた。あれはもしかして、私の気を何かから反らすため?
止せばいいのに嫌な考えは止まらなくて、考えれば考えるほどしっくりくるように思える。昨日聞いたカーテンの音、あれはもしかして、二階の窓から私を見ていた彼女が閉めたカーテンの音だったんじゃ…。
そんな疑問を抱きながらも、これまで通り私たちの仲は続いた。あの女の人がなんだろうと、彼女は彼女だし、良い友達だと思っていた。知られたくないなら追求はしない。それで良いのだし、その方が良いと思ったから。

212 本当にあった怖い名無し sage New! 2012/12/27(木) 22:38:30.26 ID:oAt9Z5nmI
ところが、12月に入ったある日、彼女がまた学校を休んだ。
先生によれば、また風邪だと言うこと。クラスではもう私と彼女は仲良しカップルみたいに扱われていて(この頃には彼女もほんの少し他の人とも話すようになっていて、以前ほどは避けられていなかった)、当然のように先生にプリントを押し付けられた。

私は、嫌だな、嫌だな。と思いながらも行かないわけにはいかず、前と同じようにトボトボ彼女の家へと言った。
ポストに入れちゃおうか。
彼女もその方が、喜ぶと思うし。
そんなことを考えてる内に、彼女の家に着いた。
玄関のドアの前。誰かがうずくまっている。
彼女だった。
「ちょっと、どうしたの?」
私はびっくりして声をかけた。
彼女があげた顔は青白く、私を見て薄く笑った。
「プリント、Aちゃんが届けに来ると思ったから…」
「いや、だからって」
「とにかく、ありがとう」
明らかにおかしい。何かを隠している。
彼女はプリントを私の手から奪い、玄関のドアを開けた。
と思ったら、急にプリントに口を抑えて、吐いた。
「大丈夫、大丈夫だから」
再びうずくまる彼女。手に持つプリントは戻したモノで汚れ、服にもいくらかかかっていた。
「大丈夫なわけないでしょ、いいからここにいなよ」
こうなると、もうつべこべ言ってられない。
私は玄関から顔をのぞかせて、彼女の母親を呼んだ。

213 本当にあった怖い名無し sage New! 2012/12/27(木) 22:39:41.84 ID:oAt9Z5nmI
「すいませーん、誰かいますかー?」
「お願い、Aちゃん。いいからやめて」
Aちゃんは涙目で言ったけど、私は突如湧き上がる謎の友情に燃えていた。
こんな状態の彼女をほっておけるわけがない。母親がどんな人だって良いよ、友達なことには変わりないじゃない。って。
誰も出てこない。私は彼女の母親にイライラした。こんな状態の彼女を残して、母親は何をしてるのか?
「ちょっと、家上がるよっ」
「だめっ」
彼女の制止も聞かず私は家に上がった。
「すいませーん!」
反応なし。
これはもう仕方ないと思い、とりあえず彼女の吐いたものを処理するため、玄関から続く廊下のトイレらしきドアに向かった。拭くものを取りにいくためだ。
と、何かが聞こえる。廊下の左手、あのふすまの部屋からだ。
やっぱり、いるの?
怖いもの知らずモードの私は躊躇なくそのふすまを開けた。

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