洒落怖
葬る

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669 コピペ 6/8 sage 2012/08/17(金) 23:59:59.38 ID:kRa6Fvkt0
547 :415[]:2012/03/15(木) 02:32:32.68 ID:4pvQLdB90
俺「おい!おい!死ぬんだぞ!おい!津波来てんだぞ!」
ババア「早く行け!おめえ、誰が育てたと思ってる!?」
俺「何いってんだお前!早く登れよ!なんなんだよ!」
ババア「おらが生かしてやったんだぞ!!おめえを!あん時死ねばよがったんだぞ!早く行け!!」
泥まみれの土まみれで四つん這いのままババアを振り返ると、
ババアは俺の脚を掴んで、子供の頃に見たあの人呑鬼そっくりのブチ切れ顔で俺を更に引きずり降ろそうとしている。
ババアの後ろには家と、車の塊。俺が戻れと言われていた実家はもう瓦礫にもみくちゃにされて、今まさに砕けているところだった。

ババアの顔を見て、小さい頃のババアとの思い出がパラパラマンガみたいに脳裏に蘇った。
猫が食った後の残飯を食わされたことや、部屋の隅にビニールテープの陣地を作られてそこを出ると殴られたことや、
母ちゃんの悪口を書いた手紙を読まされたこと、飼ってたインコに粉洗剤を盛られたこと。
そんで出ていくきっかけは俺を生垣から突き落としたことだったなあと。
急に冷静になって、「あ、うん」なんて返事をして、腰を捻って下にいるババアの両腕を引っ張りあげるように掴んだ。
大部分の瓦礫は道路側に逸れて、流れの早い波がさっき上がってきた裏庭を駆け上がってきていた。

670 コピペ 7/8 sage 2012/08/18(土) 00:01:47.41 ID:kRa6Fvkt0
558 :415[]:2012/03/15(木) 02:42:39.96 ID:4pvQLdB90
俺が気の抜けた返事をしたからか、自分を引っ張り上げてくれるような動作をしたからか、ババアは一瞬素の顔に戻って力が抜けた。
そんでそのまま、両腕を持ったまま、ババアを下に向けてポイっと放った。
ババアは一段下の山道へ尻餅をついて、「おい」と普段呼びかけるようないつもの調子で言った。
いつもの顔をしていた。
俺はそのまま四つん這いで山を駆けのぼった。
ゴーゴー爆音がそっちこっちで鳴り響いていて、夢中で登った。
今どこまで津波が来ていて、自分の進んでいる方向は正しいのか、一切わからなかった。
どのくらい登ったかは定かじゃないが、ふと後ろを振り返ってみると7mくらいの所で波は止まっていた。
波が引いていくのを見て、ババアの姿を瓦礫の間に探したがもう居なかった。
あれから一年経つがババアは未だに見つかっていない。

671 コピペ 8/8 sage 2012/08/18(土) 00:05:21.54 ID:hiRW3Dtb0
570 :415[]:2012/03/15(木) 02:51:05.34 ID:4pvQLdB90
以上で話終了。
家族で死んだのはババアだけで、ババアの死亡届は親父の手によって早々に出されたらしい。
ちゃんと探したのかどうかもわからんが、これ以降親父の親族近辺には関わっていない。

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