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変だなとは思いつつも、別に気にもとめずその夜も眠りについたが、なんとその夜も雨音で目が醒めたのだ。さすがに、布団の中でしばらくじっとしていたが、そのうちに「雨音」だと思っていた音が、木の葉っぱの束で屋根を擦るような音だというのに気が付いた。
「風で木の葉か何か当たってんのかな?」
オレは布団から出て、電気もつけずそのまま窓まで行って古いサッシを開けた。
当然のように雨は降っていなかった。そして-
「音」は止んでいた。
194 名前:どこいったの?実話さん? 投稿日:04/06/08 14:51 ID:FKKbjLwO
背中に突き抜けるゾクリとする嫌な感触と、梅雨時期のむっとする空気がどっと流れ込んできて、心臓の鼓動が警報機のように早くなった。
窓から首を出し上を見ることもできたが、その好奇心はとんでもないリスクがあるように思えた。
その誘惑を止めたのは、突然隣の部屋から聞こえてきたすさまじい唸り声だった。
それは唸り声というよりもがき苦しむ声だったかも知れない。踵で床を蹴るような音もし始め、ただごとではない状態だった。
階下の大家のおばはんが文句を言いながら上ってきた。
ひとつ隣の会社員も起きてきて、ドアを叩いて「K田さーん どうしはりました?
大丈夫ですか?」とやってみたが、何の応答もない。
しばらくそんな状態だったが、5分ほどしてようやくK田さんがドアを少しだけ開け、顔を出した。そしてアパートの住人に言った言葉は
「どうしたんです?みなさん集まって」
だった。何も憶えていないらしいかった。
M木アパートの大家はありったけの罵り言葉を、聞こえるような独り言でぶちまけながら下に降りていった。ひとつ隣の会社員も迷惑そうに自分の部屋に帰っていった。
オレは雨音のことを考えないようにした。今から寝るわけにもいかず一人でタバコを吸い、相変わらずの折込作業に出て行った。
195 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:04/06/08 14:52 ID:FKKbjLwO
その朝、オレは朝刊を配り終えて、予備校に行くため駅に立っていた。
オレの視界の隅っこで人影が不自然に動いた。通勤特急に飛び込んだ瞬間だった。
その人がK田さんだという事を知ったのは、学校から帰ってきてからだった。
夜、いつもよりシーンと静まりかえった部屋でオレはなかなか眠ることができなかった。
あの雨音のことも気になってきていた。昼間アパートの周りを見たのだが、屋根に届く木など無かったからだ。一体何だったんだあの音は?という疑問と、得体の知れない気持ち悪さ、朝の人身事故の光景が重なってどうにも眠れない。
オレが「それ」を認識したのはこの夜からだった。
雨音ではなかった。例えていうならルービックキューブを両側から押さえつけて回したような音、きしむような砕くような音が部屋全体からし始めたのだ。
古い建物は昼と夜の温度変化できしみ音がすることもあるらしい。しかし、この音はそんなものじゃなかった。
