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彼は同僚の刑事三人とともに、ナンバープレートから割り出した犯人・間田英雄(仮名)宅に向かった。
私も、その後を付ついて行く。
犯人の家は千葉県八街町にあった。
ごく普通の建売住宅だ。
カーポートに白いマークⅡ。
バンパーに血のりが付いている。
刑事がチャイムを鳴らすと、三十歳前後の男が目をこすりながら出て来た。
「どなたですかぁ?」
ひょうひょうとしている。
しかし彼の目を見た途端、背筋に激しい悪寒が走った。
常人ではない!
ひどい三白眼は、血の通った人とは思えないほど鋭く冷たい。
私は息を呑んだ。
わずかな時間をおいて、違う刑事が男に尋ねる。
「今日、君はどこにいっていたのかなぁ?」
「えーと、秋葉原」
「そう。今、家の中には誰がいるの?・・ふんふん、ご両親と妹さんね。すまないが、ちょっと・・・・」
男の肩に手をかけた瞬間、そばにいた二人の刑事が彼の両腕を素早く押さえた。
男はひと言も抵抗らしき言葉を発せず、されるがままになっている。
刑事たちは男を車に押し込むと、静かにドアを閉め、尋問を開始した。
しばらくして、応援の車両が続々と到着。
鑑識も含め、その数は二十人ほどに膨れ上がる。
捜査員に抱きかかえられるようにして、男の妹が出てくる。
端正な顔つきだが、やはり非人間的な眼つき。
髪は異様なほど長く、ふくらはぎに届いている。
それに彼女の青白い顔がつくと、円山応挙が描いた幽霊画そのものだ。
問題のトランクが開けられると、えび茶色の布団袋が現われた。
ついさっき殺されたばかりの死体が入っている。
トランク内はさほど汚れていない。
自分の部屋に血液を出し尽くしたのか。
ひもを解くと・・・
ものすごい形相の若い女の顔が飛び出した!
ハンマーで何度も叩き割られた額やほお。
そのとき飛び出たのか、目の玉が口の中に押し込まれている。
脳みそが鼻から噴出し、頭蓋骨がささくれのようになって、あちこちから突き出ている。
それにソバージュの髪がからまる。
この女はほんの数時間前まで生きていた。
信じられないという気持ちと恐怖が、同時に私を襲った。
犯人の母親が、窓から外を眺めている。
無表情だ。
父親は、玄関にしゃがみ込んで泣き叫んでいる。
まともなのは父親だけだと、H刑事が舌打ちした。
約三時間後の新宿署。
取り調べは続いている。
徹夜になりそうだが、私はH刑事を待った。
帰る気も、寝る気もしない。
他殺体を見たことはあっても、あれほど無惨なものは初めてだった。
外が明るくなったころ、彼が出てきた。
「ホトケは、マントルの女だったよ・・・」
「遺伝だろうな」
「いったい・・・」
「ホシが誰かを殺そうと街を徘徊しているときに、たまたま公衆電話のピンクチラシを見て、マントルに行ったんだ。そこで、ホトケの住んでいたマンション名と電話番号を教えられた」
何度読んでもマントルが一番被害者