洒落怖
やつの話

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853 「やつ」の話1 sage 2008/05/22(木) 13:44:23 ID:xLnv2Y8c0
高校卒業後、意気揚々とアレな専門学校に入学してしばらくたった時にふと、「やつ」が話してくれた話し。
放課後、「やつ」と何人かであつまってくだらない話に花を咲かせていたときのこと。

ふと話が「修学旅行どこいった?」って話になってさ。
「俺ら沖縄。」「俺も俺も。」
「メシ今一だったよなぁ。」「うん。」
「俺なんて台風のせいでダイビングできなかったしな。」

みんな共通の話が無かったからすげーもりあがってね。
気がついたらちょうど日が暮れ始めて教室が夕日で真っ赤になるような時間。
誰かが言い始めたんだ。
「沖縄っていうとさぁ・・・」
怪しいとは思ったが案の定、そいつの話は「怪談」のたぐいだった。
なんか話したそうにうずうずしてたヤツだったから。
妙に雰囲気作った口調で話し始めたんだよ。怖がらせる気まんまんなの丸わかり。
今考えればこいつが地雷をふんだんだって思う。
「ヒメ○リの塔の資料館?だっけ。アレおまえらいった?」
「いってねーわ。」
「あそこに飾ってある写真、心霊写真だったぜ!」
「マジかよ!」
「木とかに顔超写ってたし!」
「だよな!指で指されまくって指紋超ついてたしな!」
「マジこえー!」
そこで「そいつ」がぽつりと。別格怖い話をするでもない調子で。
「そーいう話なら俺もあるなぁ。」
って言って語り始めたんだ。

854 「やつ」の話2 sage 2008/05/22(木) 13:46:30 ID:xLnv2Y8c0
「俺らが修学旅行行ったときにさ、沖縄の防空壕っていうのか?あの洞窟の。
 あそこに行ったヤツの中で何人か調子悪くなって先にホテルに帰らされてたんだよ。」
「おまえにもなんかあったの?」
「いや、紫芋アイス喰ってドクペ飲んでたわ。」
「おまwww」
「まぁそんでな、俺らもひとしきり回って夕方にホテルもどって、普通にメシ喰って普通に風呂はいって。
 そんで忘れた頃に思い出したんだよね。先帰った奴らのこと。」
気がついたらみんなそいつの話に聞き入ってた。
放置されたネトゲのBGMが、やたらうざったく聞こえたのも覚えてる。
「みんなと話してる内にちょっとあいつらの顔見に行ってやろうぜって。」
「見舞いにか。」
「名目上。ただ単に今日の内容を自慢してやろうと思った。」
「ひでえwwww」
「そいつの部屋に行っても誰もいないからさ。ちょっと探して歩いてたんだよ。
 あらかた探し歩いたんだけどどこにもいなくてさ。先生たちがいる部屋のまえ通ったんだわ。」
誰かがペプシツイストのカンに手を伸ばして、引っ込めた。
今思えば可笑しいよなぁ。怖い話なんかしてないのに。
でもなんか飲んだり喰ったりできるような。そんな雰囲気じゃなかった。

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