洒落怖
ブライダルフェア

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いや、たいして怖くないんだけどホントの話
遺伝とは怖いもので、デブのおれの娘も小学校高学年になると太ってきた。

ダイエットもかねて、近くの山に2人で登ることを、
毎週おこなうようになった。頂上まで1時間すこしかけて登る。
こんなことを数カ月して、俺の腹も、娘もすこし鍛えられてきた
3月の末ごろ。うるさいくらいのウグイスの声を聞きながら下山していると、
娘が「○○テレビしようよ。」と言ってきた。

830: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:42:44.95 ID:8SnvSe8Q0
○○テレビとは、地方局のテレビCMっぽい口調でチープなCMを即興で考えてしゃべること。
暇なとき車で見える看板の店や会社のCMを即興でやるのだが、
妻は、「また始まったの。」とあきれ顔。

しかし、なぜか娘は大好きで、上手に合いの手を入れるようにもなってきていた。
まあ、遺伝とは恐ろしいものですな。
ホントにバカみたいな、他人から見たら何が面白いのかわからない遊びなんだけどね。

831: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:43:58.26 ID:8SnvSe8Q0
「お題は?」
「じゃあ近所にできた紳士服のシマダ」
「男の色気は身だしなみから、あなたのファッションをリードす
る紳士服のシマダ。2パンツセットで19800円から。
紳士服のシマダはフレッシュマンを応援しています。」
で、娘が「今ならブライダルフェア実施中。」と締めた。
「紳士服でブライダルフェアはおかしいやろ。」と娘と笑いあった。

833: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:45:15.32 ID:8SnvSe8Q0
「次はオレな。お題は仏壇仏具の木村屋」
「どこいいくの?」「木村屋」
「おきにいりは?」「木村屋」
「葬儀のことなら?」「木村屋」
「仏壇仏具は?」「木村屋」
「なんでもそろーう、木・村・屋~。」 と娘が言った後、

自分たちの右手の林から
「ブライダルフェア ジッシチュウ!!」
という声が聞こえてきた。
かわいいが、気味悪い。何というかインコの鳴きまねのような声。

834: 本当にあった怖い名無し:2012/04/08(日) 23:46:33.54 ID:8SnvSe8Q0
固まる二人
「聞こえた?」「ああ。」
「人間っぽくないよね。」「モノノケのたぐいっぽい、、。」

そしてもう一度
「ブライダルフェア ジッシチュウ!!」
と誰もいない林から聞こえる。
「逃ぃげろ―!」と急いで下山した、、、。

下の駐車場まで来ると、頂上の石碑まで青空をバックによく見える。
頂上に木は生えておらず、不思議とよく見えるのだ。
頂上にはオレンジ色ウインドブレーカーを着た、ヒトガタが見える。

のぼり口はここしかなく、めったに人が訪れないこの山の駐車場に車は止まっていないのに。
俺のウインドブレーカーそっくりなのがこの距離でもわかる。
「だれともすれちがっていないよな。」「うん。」
「あれ。どう思う?」「わからん。」
娘は半泣きなので、急いで帰宅した次第、、、。
あのヒトガタが、あの声と関係あるのかどうかわからない。

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