短くて怖い話
でんしゃ

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「でんしゃがきたよー」
女の子の声がした
いつの間にか眠ってしまっていて、外はもう真っ暗だった
眠い目を擦りながらタバコを吸う
「でんしゃがきたよー」
外からの声のはずなのにとても近くで聞こえる女の子の声
当時私は線路沿いにある電車が通る度にアパートが揺れてしまうようなボロアパートに住んでいた
「でんしゃがきたよー」

とても楽しそうな女の子のはしゃぐ声を聞き、何故だか分からないが急に不安になった
どうして親の声が聞こえないんだ?
それに「電車が来る」と女の子は言っているが電車が通っている形跡がない。
電車が通ればアパートが揺れるし、また通過の際は電車の窓から漏れる光ですぐに分かるはずなのだ
おかしいな、とは思ったが寝起きの状態だし、単純に電車が通過しているのも、親の声にも気付かなかったのかも知れない
「でんしゃがきたよー」
また聞こえた
さっきより声が近い気がする
タバコを吸いながらふと時計を見る
時間は夜中の2時を過ぎたところだった
「でんしゃがきたよー」
窓の外に誰か立っている

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