洒落怖
転生

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大森家の長老は当時のことを鮮明に覚えていた。
その部落には歳若くして亡くなった死者の背中に筆で名前や家紋を書いて葬る習慣があったそうだ。
そして、文字や家紋の「痣」のある子供が生まれると、死者を葬った家と赤子の生まれた家とは新たに「親戚」となるのだという。
親戚となった両家は子供によってもたらされる福運により発展するのだと言う。
子供の痣は、死者を葬った墓の土を水で溶いたもので7日間洗い続ければ落ちるのだそうだ。

599 転生 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/12(月) 03:11:55 ID:I4yj/tj40
幸恵の体にも善太郎の手により家紋が墨書されたという。
やがて、全財産を失い孤独の身となった善太郎は、町外れの洞穴に住み着いていた祈祷師の元に通うようになった。
祈祷師と善太郎が洞穴でなにをしていたのかは判らない。
だが、善太郎は妻の死から2年後に発狂した。
土葬された妻の墓を暴き、洞穴で割腹自殺したのだ。
暴かれた幸恵の遺体(骨)の殆どは善太郎に「喰われて」残っていなかった。
幸恵の実家の父親が若者を駆り出して祈祷師を捕らえ、事情を聞きだした。
詳しい内容は判らず仕舞いだが、どうやら善太郎の行動は呪いの儀式だったようだ。
それも、檀家総代が先祖累代と共に寺から追放されるような外法であった。

マサさんは大森家で話を聞くと共に、1枚の写真を貰い受けてきた。
林幸恵・・・女性化した姜種憲に酷似した、若い女の写真だった。

600 転生 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/12(月) 03:13:31 ID:I4yj/tj40
キムさんに伴われて連れて来られた姜種憲・・・ジュリーは美しい「女」だった。
ニューハーフ、特に性転換して完全に女性化した者の中には、本物の女よりも美しく物腰も女性らしい者が少なくない。
しかし、どんなに美しく優雅な物腰でも違和感は隠せない。
少なくとも、女だけでなくニューハーフともかなり遊んだ俺には判る。
その違和感の部分が堪らないのだが・・・
女性経験のない男性諸氏はニューハーフには近付かない事だ。
ある意味「違和感」とは、若い男が女に抱いている妄想や幻想そのものだからだ。
だが、ジュリーには、その「違和感」がなかった。
精神、いや、魂の根本から女性なのだ。

とにかく、ジュリーの美しさにはゾクッとくる迫力があった。
それは天性の危険な魅力。
この女の為なら破滅するのも悪くはない、と思い込んでしまっても無理はない魅力があった。
まさに「魔力」。
事実、彼女は「女」になる前から、普通の異性愛者だった男も虜にして何人も破滅に導いているのだ。

601 転生 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/12(月) 03:14:30 ID:I4yj/tj40
危険この上ない女だった。
自発的にではなく、砂鉄の中に磁石を放り込まれたかのように、有無を言わせずに引き込まれ、情欲を沸き立たされる「何か」があった。
確かに、ただの空手屋には手に負えまい。
何日も一つ屋根の下にいれば、我慢できずに襲い掛かりかねない。
だが、コイツは猛毒の針を持った食虫植物のような女なのだ。
だからと言って、女でも駄目だ。
どういう訳か、ジュリーは美しさ故と言うわけでもないのだろうが、女から敵視され、しばしば殺意さえ持たれた。
彼女の母親となったバーク夫人でさえ、彼女を押さえ付けて犯していた夫ではなく、ジュリーに殺意を抱いていた。
事前情報の「彼女が誘惑して」と言うフレーズには、バーク夫人とジュリーと関係を持った男達の主観が大きく作用しているのだ。

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  • 匿名 より:

    アジアでタイ人が美人は認めるけど、整形大国の韓国人がツートップ扱いはないわー。フィリピンの方がエキゾチックでナチュラルな美人が多い。

  • 匿名 より:

    これって洒落怖?なろうじゃなくて???
    起承転結出来すぎてて一話完結なかんじがすごく怖くない。まとまりすぎなのに長いしこわくない。

  • 匿名 より:

    三角の痣は誰の生まれ変わり??

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