洒落怖
転生

この怖い話は約 4 分で読めます。

俺は仕事でストーカーからのガードをしたこともある、ニューハーフのアリサに身の回りの世話の為、同行を依頼した。

アリサは日本人のニューハーフだ。
帰国子女で英語にも堪能。
ジュリーと同様、近親者に慰み者にされた末に放逐された過去を持つ。
さらに、鋭い霊感を持っていた。
アジア系のニューハーフで美しいのは、タイ人と韓国人が双璧だと俺は思っている。
しかし、アリサも「生まれつき」の女にも、ちょっといないレベルの美人だった。
いや、ジュリーもそうだが、神が何かミステイクを犯して彼女達にY染色体を配分してしまっただけで、彼女達はあくまで「女性」なのだ。

606 転生 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/12(月) 04:02:10 ID:I4yj/tj40
アリサの通訳を介して俺はジュリーに色々と質問をした。
予想通り、ジュリーは「意識的に」男を誘惑したことはなかった。
彼女の主観では、むしろ男に襲われ嬲り者にされ、女からは常に敵意を向けられてきた。
女性に対する恐怖は死んだ母親やバーク夫人の影響が強いようだ。
韓国にいた頃は同級生や上級生の女児から酷いいじめを受けており、大人の男性から性的な悪戯もされていたようだ。
彼女の凶暴な側面が現れたのは、発作的に弟をマンションのベランダから投げ捨てた時からだった。
父親から性的な暴行を受け、母親から激しい折檻を加えられている自分と弟を比べて堪らなくなったと言うのだ。
それ以来、彼女は時々自分自身では制御できない衝動に駆られて行動するようになった。
父親の時も、街角に初めて立ったときも、バーク氏の拳銃を持ち出して使った時も・・・
始めは襲われて無理やりだったのに、そのまま男達と関係を続けてしまったのは、自分を「女」と確認する為だったらしい。
それと、逃げたり拒絶する事に強い恐怖を感じていて、抜け出せなかったとも語っていた。
彼女本来のキャラクターは、気弱で大人しく、いつも他者から傷付けられる事を恐れている、か弱い女性のものだった。
だが、その「いかにも」な性格の反面として内在している彼女の「獣」は凶悪で危険だった。

俺の中の警報装置は、危険!危険!と赤ランプを点滅させっぱなしだった。

父親のバーク氏は「娘」を取り戻そうとして見境の無い状態になっていた。
カナダからの情報では、かなりの金を使って日本で人を動かしている。
凶暴化したジュリーが脱走する恐れもあった。
乗ってきた車も文たちに持って帰らせ、俺達は完全な缶詰め状態で潜伏を続けた。
マサさんが「準備」を済ませ、潜伏中の俺達に連絡してきた時、潜伏開始から2週間を過ぎていた。

609 転生 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/12(月) 04:02:55 ID:I4yj/tj40
翌朝出発した俺とマサさんは、昼すぎに潜伏場所に到着した。
前日、朴が来た時、ジュリーはかなりナーバスな状態にあったが、その時は落ち着いていた。
同じ境遇で、歳は近いが年長のアリサの存在はやはり大きかった。
俺と権さんだけでは、2週間にも及ぶ潜伏生活は不可能だっただろう。
マサさんは俺に話した韓国と日本で調査した内容をアリサの通訳を介してジュリーに話して聞かせた。
バーク夫妻も俺達も、ジュリーには退行催眠で彼女が話したこと、彼女が林幸恵の生まれ変わりだと言ったことは教えていなかった。
カウンセラーの操作でジュリーも催眠で自分が語ったことを忘れている。
だが、マサさんの話を聞くと大粒の涙をボロボロ流しながら、肩を震わせて泣いた。
マサさんは『寺が林家を供養して、新しい墓を立てることになった。一緒に行かないか』と、たどたどしい英語でジュリーに言った。
ジュリーは「YES」と答えた。
マサさんが訳を話して住職に頼み、檀家総代の大森家が動いて檀家衆を説得したのだ。
役員で反対を表明するものはいなかった。

この怖い話にコメントする

  • 匿名 より:

    アジアでタイ人が美人は認めるけど、整形大国の韓国人がツートップ扱いはないわー。フィリピンの方がエキゾチックでナチュラルな美人が多い。

  • 匿名 より:

    これって洒落怖?なろうじゃなくて???
    起承転結出来すぎてて一話完結なかんじがすごく怖くない。まとまりすぎなのに長いしこわくない。

  • 匿名 より:

    三角の痣は誰の生まれ変わり??

  • 転生