洒落怖
お婆さんの狙い

この怖い話は約 3 分で読めます。

この話は実話です。私自身も体験したのですが、当時はなにも気付きませんでした。
霊などはでません。
長い割に怖くないかもしれません。

それはまだ私が幼いころです。
記憶は曖昧なのですが、確か妹がまだ赤子だったので、私は小学生の低学年だったと思います。

当時妹はひどい小児喘息で、診察と常備薬を処方してもらうため、車で1時間ほどかかる遠方の病院に通っていました。

私は病気でもないのに、よくそれについていきました。
なぜなら幼いころはたとえ病院だろうと遠くに行くだけで楽しかったですし、それに道で外食をすることがあったのです。
一方手間がかかる私をつれていくのを母は嫌がり、家にいなさいと言っていました。
私はそれでも無理を言って病院についていきました。
病院では、私はいつも妹が診察をうける間病院内をうろうろと歩いておりました。
いつものように広い病院を探検する気持ちで歩いていると、いきなり院内服を着た知らないお婆さんから話しかけられました。
「ぼく、飴いる?」
そのお婆さんは真っ白な白髪にまばらに残る黒髪が印象的で体格は小柄、それに酷く痩せていました。顔色も悪くて不健康そうに見えました。
思い詰めたように暗くて疲れきったような表情に見えます。なにより私を見る目が怖かったのを覚えています。
お婆さんは、自分はここに入院しているのだといいました。
前からよく病院内を歩く私をみて話しかけたかったのだそうです。
寂しいから友達になって欲しいといいました。
私はお婆さんを怖いと思ったので嫌だと思い、黙って首を横にふり、母の元に逃げました。

768 じつ8② sage 2009/12/07(月) 23:10:33 ID:G6mpNvt1O
お婆さんがそろそろと私のあとをついてくるのがわかりました。
私は妹を抱く母を見つけると、泣きながら駆け寄り、お婆さんを指差しながら変なお婆さんがついてくるといいました。
お婆さんは、いつの間にか僕のハンカチを持っていて、落としましたよと言いました。

母は、すいませんと謝りハンカチを受け取ると、私には失礼なことをいうなと叱りつけました。
お婆さんは、いいんですよ、と母に近寄りそこで驚いたように口を開けると涙を流しはじめました。
お婆さんは母をみていいました。
「娘にそっくり」
お婆さんには10年以上昔、母にそっくりな娘がいたそうで、その娘さんを病気で亡くされてたそうなのです。
母は、そんなお婆さんを可哀想な顔で見ておりました。
それからお婆さんは、母と妹が病院に行く曜日には入り口で待つようになりました。
そうして妹と僕にお菓子や玩具をくれるのです。
死んだ娘といっしょにいるようだと喜ぶお婆さんを母は断れないようでした。

いつの時間にいっても入口にいるお婆さんが気味悪くなり、私は病院へはついていかないようになりました。

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