洒落怖
お婆さんの狙い

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そうして何ヵ月か経ったころでしょうか、母のほうから私に病院についてこない? と誘うようになりました。
私は不思議に思いながらも、帰りに美味しいものをごちそうしてくれるかもと思い了承しました。
病院につき、妹の診察が済んで母と受付を待っているとき、
今日はお婆さんはいないんだ、もう退院したのかもしれない思っていると背後から声がしました。
「見つけた」
振り返ると例のお婆さんが笑って立っていました。
母の顔はひきつっています。
お婆さんは院内服ではなく、私服をきていました。
「○○(母)ちゃん、最近月曜日に見ないから寂しかったのよ。
通院する曜日変えるなら教えてよ」
お婆さんは、私を見て笑いました。
「久しぶりね○○くん、今日はおばさんがご飯につれてあげるね」

769 じつ8③ sage 2009/12/07(月) 23:13:04 ID:G6mpNvt1O
断る母を強引に説き伏せて、お婆さんは私達を近くのファミレスにつれていきました。
食事の間お婆さんはずっと笑っていました。お婆さんと母の会話が変な会話をしていたのを覚えています。

「ふたつあるんだからいいじゃないの」
「いい加減にしてください」
「いいじゃないの」
「警察を呼びますよ」
「じゃあこれを読んで」
お婆さんは母に封筒を渡しました。

その日の帰りの車は、いつもとは違う道を走ったのを覚えています。
それと、車の中で母が変な質問をしてきたことも。
「Y(妹)ちゃんを可愛いと思う?」
「……うん」
「あなたはお兄ちゃんなんだから、なにかあったらYちゃんを守らないといけないよ」
「うん」
「来週からYちゃんと一緒に病院にきてそばから離れたらいけないよ」
「うん」

当時は何故母がそんなことを言うのかわかりませんでした。
それから毎回病院でお婆さんと私達は会いましたが、ある日を境に急に見なくなりました。

それから十年以上経ち、母にそういえばあのお婆さんどうしてるんだろうね?
と尋ね、返ってきた答えに私は震えました。
「あの人は多分亡くなったよ。それに、お婆さんじゃなくて私と同じ年なの」

770 じつ8④ sage 2009/12/07(月) 23:16:36 ID:G6mpNvt1O
私は驚きました、当時の母は30才代ですが、お婆さんはどう見ても60才はいってるように見えたのです。
母から聞いた話はこうです。
退院してからもいつも病院で会うおばさんを不思議に思い母は、知り合いの看護師にお婆さんはそんなに悪い病気なのかと尋ねたそうです。
おばさんは病気ではなく、自殺未遂で入院していたというのです。
娘が亡くなったショックで自殺未遂をしたお婆さんの外見はみるみる老けていき、亡くなった娘というのはまだ赤ちゃんだったそうです。
それなら母と似ているはずがありません。
そういえばお婆さんが母に向かって娘にそっくりだと言った時、妹が母に抱かれていたことを思いだしました。
お婆さんは妹に向けて言っていたのです。
最初は優しかったお婆さんは次第に母に妹を譲るよう懇願してきたらしいのです。
もちろん母は断りました。
妹をさらわれるとお婆さんが怖くなった母は、私を見張り役として病院に付き添わせてたそうです。
そして封筒の中の手紙を見せてくれました。

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