洒落怖
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見ててみ
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「死んでるよ、俺があの女を見るんはもう5回目やからな」
父の言っている意味がわからず、思わず私の動きが止まる。
「もうずいぶん前に死んでるんや。でもそれに気づいてない。」
そこでやっと気づいた。さっき見た女の人は、あちら側のモノだったのだ。
「自殺した人間っていうのは、自分から死にに行くくせに、本能のどこかでまだ自分は生きてるんじゃないだろうかと思う事があるらしいわ。
そんな思いがああいう形で残って、『また失敗した、早く死ななければ』って同じ事を繰り返すんやって。」
何回も何回も自分の死を知らずに、同じ自殺を繰り返す霊、さっき見たモノもそういう類だろう。
悲しいなぁ…と父は小さな声で言った。
曲がり角を曲がると、もう橋は見えない。
変わりに、見慣れた近所の町並みが窓の外を流れていく。
以来、昼でもできるだけその橋は利用しないようになった。夜なら尚更だ。
今でも彼女は、あの場所で死に続けているのだろうか。
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