洒落怖
ナルコレプシー

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ナルコレプシーという病気がある。自分の症状はこれに近いと思った。話している最
中などに意識が瞬断して(寝て)しまう妙な病気だ。

 日中、仕事をしている間は大丈夫なのだが、帰りの電車の中でいきなり寝てしまい、
寝過ごすことが多くなった。何だそんなこと、と思えるかもしれないが、ちょっと尋常
でない。小学生の頃など、夕方など中途半端な時間に寝てしまい、時計を見て飛び起き
て遅刻する! と思ったら夕飯の時間だった、という経験は誰もが持っているだろう。
アレと同じ。いきなり引き摺られるように眠りに落ち、起きた時に全く状況把握が出来
ない。最初はホント、何がなんだか解らず、単に寝過ごしたと気付くのに数十秒の時間
を要した。これ、立っているときでも眠りに落ちてしまう。吊り革につかまったまま
「膝カックン」状態で目が覚めるのだ。ひどい時には後ろの人に倒れ込むようになって
しまったことさえあった。もちろん夢など全く見ない…幸いなことに。

ただ、原因も思い当たる。単純な睡眠不足もそうだが、食生活を変えたのだ。この半
年ほど前からヨーガを始めたら肉を食いたくなくなり、ベジタリアンになった。からだ
が軽くなった感はあるのだが、立ちくらみなど、貧血のようなだるさも同時にあった。
鉄分不足が原因だろうと思い、サプリを摂り始めた直後だったのだ。

 ネットで調べたが、鉄分と睡眠障害の関係は分からなかった。見つけたのがこの病名
だが、取り敢えずもっと眠れば何とかなるだろう。そう考えて夜のネットは控え、週末
も意識して寝溜めするようにした。これが奏効したようで、以前のように前後不覚に眠
りに落ちることは殆ど無くなった。まぁ、木、金曜辺りはヤバい感じもあるのだが、そ
の時は鉄分の摂取を控えるようにした。

540 2/4 sage 2009/12/20(日) 21:52:28 ID:Q16pOgJe0
 ある日、会社の帰り。座れたので、寝てしまった。そのまま意識が戻って、目は瞑った
ままだったが電車の中にいることは分かった。手首と足首が重たいが、心地よい感じ。
かたんかたんと言う規則的な音と車内アナウンス。降りる駅はまだまだ先であることも
分かり、このまままた寝てしまっても良いと思った。そして見た夢-

 山の中。走っている。この世のものでない恐ろしいものから必至に逃げている。時々
首の後ろにふわっとした冷気が触れる。これに捕まったら死ぬ、追いつかれたら死ぬと
思って必死で走った。しばらくすると道が2手に分かれている。何も考えられず、咄嗟
に右の道へ。

 暫く走ると吊り橋が見えた。げ、マズい。揺れるだろうし、ペースはどうしたって落
ちる。それに床木が腐っていて踏み抜いてしまうこともあるのでは? しかしそんな心
配をしても仕方が無い。えぇい、ままよと思って飛び乗った。吊り橋は確かに揺れたが、
思ったより上手く走ることが出来た。後ろのものは吊り橋を上手く渡ることが出来ない
のか、背中に感じる冷気がやや遠ざかったように感じた。逃げ切れる。そう思った。

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