洒落怖
トンじい

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なんにせよ帰るには再び老人のいるトンネルを抜けなくてはなりません。
僕たちは迷いつつおそるおそるトンネルに入りました。
薄暗いトンネル内でござの上で横になっている老人の背が見えます。
その横を音をたてないようそろそろと二人で歩きました。
老人はその間ぴくりとも動きませんでしたが、出口にさしかかった時唐突に言いました。
「遅いから気をつけて帰れよ」
僕は急に老人に興味がわき尋ねました。
「おじいさんはこのトンネルに住んでるの?」
「ああ」
「いつから?」
「お前が産まれる前からじゃ」
「なんで?」
「昔わるさして、罰があたったんじゃ」
「罰でトンネルにいるの?」
「そう。みんなに追い出されたんじゃ」
おじいさんの声は寂しそうでした。
「もう帰れ、おとうとおかあが心配しよるぞ。それと危ないから、ここらにはもう近よるな」
「うん」

しかし、僕たちは翌日も老人のところに行きました。
幼いながらに老人が悪い人だとは思えなかったのです。
最初は迷惑そうだった老人も次第に僕たちを可愛がってくれました。
一緒に遊んでくれたり、影送りや、折り紙などいろんな遊びを教えてくれました。
僕たちは老人のことを、トンじいと呼び、放課後毎日遊んでいました。
そんな関係が2ヶ月ほど経った頃事件が起こりました。

376 じつ8④ sage 2009/11/29(日) 21:51:53 ID:7p3nKMO3O
トンじいは、ファンタが好きで僕たちがあげると大事そうに両手で飲んでいました。
今度は、違う味のファンタ持ってくるよというとありがとうなと凄く嬉しそうに笑いました。
その日、トンじいのもとから帰る途中Y君がふざけて、背の釣竿を刀に見たて振り回しはじめました。
勢いよくふった先でつまずきよろけ、とっさに支えにした釣竿がしなって中程が折れました。
Y君は青ざめ泣き出し、
「お父さんに殺される」
としきりに言いました。
僕は、泣きじゃくるYに頼まれ一緒にYのお父さんのところに謝りにいきました。
折れた釣竿を見るなり、Yのお父さんの顔つきが強ばり目が赤くなりました。
限界まで膨らんだ風船が破裂するのを抑えるように、ぶるぶると震えながら
「どっちがやったんか?これ」
と平坦な声で言いました。
Yはうつむいて涙を地面に落とし、僕は怖くて黙っていました。
「答えんか!お前がやったんか!!?」
Yの父親は怒鳴りながら、Yの髪を乱暴につかんで無理矢理顔を引き上げると血走った目で睨み付けました。
「答えんか!!」
「トンじいがした」
Yはしゃくりあげながら、か細い声で呟きました。
「ああ!!?トンじいって誰か!?」
「海のトンネルにいるおじいちゃんがやったんだ」
Yのお父さんは、Yを離すと憎らしげにいいました。
「大山のジジイが、あのやろう」
Yのお父さんは家に入り誰かに電話をかけると、スコップを持って走り去っていきました。
Yは声を上げて泣いていました。

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  • 匿名 より:

    本当ならyもその糞親父もクズだろ

  • トンじい