洒落怖
ばあちゃん

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おいらです。
>>32の犬が喰われた話について、当時犯人が誰ということまでは突き詰められなかったと聞いています。
じいちゃんにもいろいろあって、そういった結論に凝り固まっていた部分も多分にあるでしょう。明治生まれの、もうこの世にはいない老人の話と思って、許してつかぁさい。
で、今度はいろいろあったウチのばあちゃんの最期について。
自分にとっては生々しい話しですが…宜しければ。
今回は、スレの趣旨にあっていればいいんですが。
ゴメンね、ばあちゃん。

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なぜか、親戚の死に絡んで、不思議な目によく逢う。
最初は、高校学園祭の準備をしているときだった。
クラス対抗の行灯行列用に、角材の骨組みにカナヅチを振るっていると、グラウンドの木立の影に、誰か立ってこちらを見ているのに気づいた。
顔はよく見えなかったが、一瞬でばあちゃんだと解った。
「ああ、ばあちゃんか」と思って釘の頭を叩いたとき、はっとした。
こんなところに一人で来れる筈がない。ばあちゃんは、入院しているのに…
すぐにその木立の方を振り返ったが、そこには誰も居なかった。

ふた月ほど前、休日の昼間、ばあちゃんが自宅の台所で倒れているのを、遊びに来ていたおいらが最初に見つけて救急を呼んだ。動かさない方がいいと漫画で読んで知っていた。症例にも心当たりがあった。
案の定、クモ膜下出血だった。(手塚先生ありがとう)

72 本当にあった怖い名無し sage 2009/11/20(金) 00:29:41 ID:kKlMUnIN0
幸い、命は取り留めたものの、その後のボケ具合はかなり強烈。一方畑仕事で鍛えた体は何処も悪くなかったため、病院内でゾロゾロ徘徊してしまい、大変だったらしい。
伯母さん、お袋、小母さんの三姉妹は交代で付き添った。
時折、記憶がフラッシュバックするのか、ばあちゃんは目を見開いて、お袋達を口汚く罵ることすらあったという。
「あんなに昔のことなのに」
「だって、そのころは母さんも生まれてないでしょ?」
「オオタニ」
「よく覚えていたもんだね」
「あれが、ばあちゃんの本心だったのかも知れないね」

制御の効かなくなった頭から溢れ出る、「正」も「負」もごった煮の、ナマの感情。

それを、マトモにぶつけられた娘三人の心労と負担は、計り知れない。
ある夜、三人揃って、夜中泣いているのを見たこともある。疲れているのがわかった。
(当然、旦那連中も協力を惜しまなかったことを付け加えておきます)
基本的におばあちゃん子だったおいらが、見舞いに行きたいというと、逆に言われた。
「見舞いに行ってもお前とは解らないだろう。行ったところで仕方ない」と。

…ゆえに状況を詳しく知らず、のほほんと高校生活を勝手にエンジョイしていたおいらも、その時は持っていたカナヅチを放り出し、何か不吉なものを感じて速攻で学校を早退した。
家に帰り着くと、親父も弟も早引きしてきたらしく、慌ただしく身仕度している。

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