洒落怖
ばあちゃん

この怖い話は約 2 分で読めます。

83 本当にあった怖い名無し sage 2009/11/20(金) 08:36:53 ID:omUk7smE0
「俺を想ってくれるのは嬉しいけど、もう、そうやって出て来るのは止めて下さい!」
汗だくになりながら、ようやくそこまで言い終えた。
それまで目を見開いていたばあちゃんは、それが聞こえたのか、一瞬固まった様に見えた。そして少し小首をかしげ、何か言いかけたまま、スーッと消えた。

結局この後、おいらのこの声でみんな起きだしてしまった。こっちはこっちで、急に恥ずかしくて堪らなくなった。これはウチの家族の問題だ。他人を巻き込むことじゃないし、寝ていた彼女にも本当のことなんか言えない。しかも、部長たる自分の家での一件だ。
これは誰にも話せない。

内心で、おいらは後悔していた。ばあちゃんは何か言いたかったのか?それを聞けなかった。
そしてもう二度と、ばあちゃんにはこの世では会えないだろう。そうボンヤリ確信していた。何故なら、おいらが言ってしまったのだから。「もう会いたくない」と。
あんなに好きだったのに。
今更どんなに謝っても、届かない。

人は死ぬと、いつの時点の記憶を持って現世に化けて来るのだろう?
きっとあった筈の、若く楽しかった時の優しい思い出か?
それとも亡くなる直前の、ボケてしまった状態の、記憶とも呼べないマダラな断片か?
この世への恨み?苦しい痛み?

死者は、向こうでも永遠にそれを繰り返すのだろうか?
もしそうなら、…そしてそれが後者だったとしたら、悲しすぎる。

この怖い話にコメントする

ばあちゃん