洒落怖
連れて逝かれる

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491 本当にあった怖い名無し sage 2010/07/21(水) 22:16:36 ID:+xhiIosM0
そして、昨年。
命日の日に半夏生とオレンジジュースとチョコレートを持って川原に向かった。
何時の頃からかある祠には俺達家族以外にも同じ様な遺族が居るのか
ビールだったりジュースだったり人形だったり花だったりが置かれていた。
お供えを置き参拝をした後、両親は一年間に何があったかを
そこに姉が居るかのように話かける。そして何度も謝る。

俺はその日も、いままでと同じ様に、父と母の後ろで川原を見つめて待っていた。

ただその日は違った。
「いやああ、いやああああだあああ。」と泣き叫ぶ声が聞こえたかと思うと
川の真ん中に灰色の人が立っていた。
横を向いたソレは「いやあああ、いやああああ。」
と口を開けて叫びながら川下をずっと見ながら何者かに下から引っ張られ消えていった。
何がおきているのか理解出来ない俺の目の前に更に別の灰色の人が川の底から這い出てくる。
そして同じ方向を向き口を開けて叫び、引き摺られていった。
それは何人も出て来ては叫び、引き摺り込まれた。

何人目かの叫び声の後に川から出てきたソレは他のとは違いこちらを向いたまま這い上がってきた。
「いやああああああ、いやああああああああ。」と必死でさけびながら口を開けてこちらを
ずっと見てる。そして両親を見てさらに大きな声で「いやああああああ、いやあああああ。」
と叫ぶ。姉だ!と思った俺は
助けなきゃ。と泣きじゃくりながら走ってた。
何故姉と思ったのか、助けなきゃと思ったのかは今でもわからない。
泣きながら姉の下に近づく俺の前で
新しい灰色の人が浮かび上がってきて姉を下へ引き摺りこもうとしていた。

姉は「いやあああああ、いやああああああ。」と必死に抗おうと体を振り回す。
もう少しで手が届くと思った瞬間に俺は両親から川原に引き摺り戻された。

「だずげてーよー。しぬのいやあああああ」と聞こえた俺は必死で抗った。

492 本当にあった怖い名無し sage 2010/07/21(水) 22:18:26 ID:+xhiIosM0
何をしているの!という母の泣き声に掻き消される様に目の前の灰色の人や姉は消えていた。
母や父には見えてなかったらしく散々説教をされた。
そして姉を救えなかったのは俺のせいでは無いと諭された。
俺は泣きながら目の前で起きた光景を親に言いかけて、止めた。
俺の両親は姉が死んでからずっと後悔の日々を送ってる。
そんな両親に何と説明すればいいのか。姉が苦しんでるとでも言うのか。
そんな事言えない。その場はただただごめんとだけしか言えなかった。
何があったの?と両親が聞いてこなかったのは俺がトラウマをもっていると思ったからだろう。

数日後、俺は一人でその場所に向かった。
ただ幾ら待ってもそこには何も現れなかった。
俺は灰色の姉が現れた場所に近くの神社で買ってきた護符や
寺で買ってきた護摩を投げ入れた。どうか姉が苦しんでいませんようにと。
それ以外に方法が分からなかった。
ただその日に姉が笑っている夢を見た。夜中に飛び起きて泣きじゃくった。
正直、夢の話がダメなこのスレでしていい話じゃないと思うけど、
どうしても川の事故は本人の不注意だけの問題じゃないと思う。
事故の遺族であり、目の前で起きた事に対するトラウマから
この様な事を思うのかも知れない。
だけど、昔から日本には川や沼に住む河童だったり、幽霊だったりとかが
怪談として語られるように、何か得体の知れない事やモノがいると思う。

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