洒落怖
連れて逝かれる

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この時期になると一生を通して思い出す話

昨日も今日も全国では川で亡くなった方々のニュースが流れる。
しかしながら、全員が全員川の流れに飲まれていったのだろうか。
もちろん川の流れの速さというのは、舐めてかかるととんでもない事になる。

だが、一日に7人以上が行方不明や重体、死亡にまで至るのは本当に事故だけが原因なのか。
事故に合われた方やその家族には申し訳ないが、俺はおかしいと思う。

理由は、姉が川で亡くなった出来事。それも目の前で。

小学生だった姉と俺と友人達はBBQをする為に川原に来てた。
大人達は料理をしたり組み立て式の椅子やテーブルを出したりと急がしく動き回っていた。
その真横で姉が流されていきそのまま帰らぬ人となった。
俺達の目の前で姉は連れていかれた。

『連れて逝かれた』のだ。

大人達がBBQをする為に選らんだ場所は、キャンプ地などでは無く
車乗り入れ禁止の場所だった。立ち入り禁止区域でもあった。
この事は今でも両親の心に悔いを残し続けてる。

毎年の夏の命日には花束を持ち家族で川原の近くまで向かう。
決まって姉の好きだった片白草(半夏生)とオレンジジュースとチョコレートを
その川原の近くにある祠にお供えする為に向かうのだ。

490 本当にあった怖い名無し sage 2010/07/21(水) 22:15:53 ID:+xhiIosM0
その場所には今でも看板が建ってある
「事故多数」の文字には姉の事故も含まれている事になるので、
ここに来る度に一生涯悔いは残り続ける。

庭に咲く半夏生を好きだった姉が夏に生涯を閉じるという皮肉にも似た文字の類似が俺は嫌いだ。
周りの葉の白くなっている様がどことなく死んだ姉の白さを思い起こす。
あの忌々しい場所に近づきたく無いのもあり、俺はあまり行く事に気が進まない。
しかし命日には必ず家族揃ってそこへ向かうことになっている。

長々と書いたが本題に移ります。

小学生の夏。
姉は「何者」かに連れて逝かれた。
それは子供心に残った姉との死別から生まれた混乱やトラウマだとずっと思っていたのだが、
決まって夢に出てくる最後の姉の姿には、何者かが覆いかぶさり連れて行くのだ。

それは肌が灰色の人だった。
俺や友人達と幾分も変わらぬ場所で遊んでいた姉だけが流されるという不可思議な出来事
の中に急に現れる。
手が届く範囲に居た姉が一瞬で目の前から消えた。一言も言葉を発する事も無く。
一瞬の場面が夢では引き伸ばされたかのように長い。俺が一瞬目を親達に向け、直ぐに姉を見た瞬間、
姉の真後ろで口をあけた灰色の人が姉の顔を鷲掴みにし、驚きの声を発する事を防ぐかのように
姉の口に髪を押入れて、一気に連れて逝くのだ。
その灰色の人は何故か口の中だけ真っ赤に染色されたかの様に夢の中では写った。

この夢は親には勿論喋った事は無い。言えるものでもない。

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