洒落怖
声の主

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実家に帰ってきて2日後、勤め先の病院で母が倒れました。

57 : 本当にあった怖い名無し : 2011/12/04(日) 03:07:54.95 ID:veGHgml+0
左足の膝から下が2倍以上に膨れ上がり、歩くことはおろか、立ち上がることすら
出来なくなってしまったのです。
病名は蜂巣炎、それも早期発見したのにもかかわらずの劇症で、即日入院してしまいました。
入院して次の日、父と私は主治医に呼び出されました。

「K(母)さんのことですが、あまり芳しくありません・・・。原因がわからないんです」
「え・・・あの、病原菌とか、検査結果は・・・」
「出てきた膿をシャーレで培養してみましたけど・・・死滅したものばかりでした。ちなみに、Kさんは最近転んだり傷をつくったりしません
でしたか?」

いわれて、そういえば引越しの手伝いに来たときに玄関でスッ転んでたっけ、と思い至りました。

59 : 本当にあった怖い名無し : 2011/12/04(日) 03:09:15.21 ID:veGHgml+0
きっとそれだとおもって主治医にいうと「恐らくそのときできた傷口から病原体
が入り込んだのでしょう。病原体は不明ですが」とのことでした。
それから入院の日程が未定なことや、これからの治療法などを話し、
最後に、先生は大変言いづらそうな顔で言いました。

「このまま劇症が続くようなら、左足を切断します」

めったに泣かない父が、泣きました。

60 : 本当にあった怖い名無し : 2011/12/04(日) 03:10:39.11 ID:veGHgml+0
その横で私はあの女性の神様が祭られているお社で母が引いた、
あのお御籤を思い出していました。

「大病は治る」そう書いてあるのを思い出したんです。

妙な確信の元に父を慰めた私は主治医に、その切断の話しは母にするのか、
と聞きました。
すると主治医は苦笑いをしながら「したんですけど」となにやら歯切れの悪い言い回しをしました。

「現実味のない話ですから、アレなんでしょうけど、Kさん「あ、そうなんですか?まあでもたぶん大丈夫です」なんていうんですよ・・・」

あ、これは、母も「治る」という妙な確信をもってるな、と。

61 : 本当にあった怖い名無し : 2011/12/04(日) 03:11:49.93 ID:veGHgml+0
実際に、母はあれだけの劇症にもかかわらず、左足を切断せずにすみました。
まあ、発症した箇所がまるで火にあぶられて焦げて炭になった肉のようになってしまいましたが。
けれども病状は平行線をたどり、3週間の入院が1ヶ月に伸び、
2ヶ月に伸び・・・夏だった気候は、とうとう秋(といっても残暑厳しい秋でしたが)になってしまいました。
その間にもいろいろと原因となってる菌の解析は進んでいましたが、どうにもこうにも決定打がなく、
原因不明のまま。
どれが効いているのかもわからない抗生剤を3種類、24時間点滴する生活が続いていました。

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