この怖い話は約 3 分で読めます。
今から100年くらい前、この家は名家だったらしく、医院を営んでいたそうだ。
その医院の名前は○○院と言ってこの辺り一帯の地名にもなっていた。
その医院の患者の名簿や記録をしていた。それがあの書物なんだそうだ。
にしても多すぎやしませんか?
訊けば書物はそれだけではなく、中には研究書のようなものもあり、
医院に関係しないもっともっと古いものもあるそうだ。それこそ数百年前のもあるとぞ言っていた。
私は流れに乗じて気になっていた例の因習について訊いた。あれは事実なのか?きっかけはなんなのか?
「・・・んぅ・・・・・」
背中に視線を感じていた。誰とかでなく。今この会話に聞き耳を立て、様子を見守るような視線。
kさんはこの視線に気付いているだろう。この質問にこの状態でどんな反応をするのか。
沈黙のあいだに一瞬だけ苦虫を噛んだような、泣きだしそうな、そんな顔をした。
私はできれば信じたくなかった。
先祖の因縁、怨恨、呪い、業、etc..
しかし、それはどうやら本当にあるのかもしれない。
人は物事を鮮明に思い出そうとしてる時、一瞬だがその事柄に纏わる感情が表情となって現れる。
また胃の辺りがぎゅうと締め付けられた・・・・・
223 本当にあった怖い名無し 2011/04/28(木) 03:46:41.35 ID:BNWIq7oiO
「皆よぉー、荷物ば降ろすどぉー」
kさんと私との沈黙を破ったのはs叔父さんだった。
s叔父さんの号令に「ぅおーい」とだらしない返事をしながら皆が軽トラの荷台に群がった。
荷物をあれやない、これやないと言いながら仕分けして家に運んだり、別の車に積んだりしている。
私は手持ち無沙汰が過ぎてs叔父さんに手伝えることはないか?と訊いた。
「そうなぁ・・あ、そうそう!nくんはヒロとかんぬっさんとこ行ってきて!
ヒロは下の川にいるからね」
ヒロは私の従兄弟で、同年代ということもあり幼い頃から仲良しで今でもたまに連絡を取り合う仲。
彼の所へ向かう道中、鬱々としたあの空気をどうにか振り払い、冷静に考えをまとめていた。
信じるだとかは後回しにして、まずそれがあるんだとしっかり受け止めることが重要だと。
具体的な話はまったく見えて来ないが、最悪な話を想定しておく。
それを受け入れる態勢でないとあちらは話せないだろうし、
私も堪えかねない話を聞くことになるかもしれない。
(ああ・・・マジなんかな・・・・・・)
224 本当にあった怖い名無し 2011/04/28(木) 03:50:00.59 ID:BNWIq7oiO
「おい!nか!こっちこっち」
声の先には喜々とこちらに手を振るヒロだった。
私もなんだか嬉しくなって、がらにもなく「おーい」だとか言って手を振って応えた。
ヒロはどうやら沢で何かをしているようなんだが、釣り具はなかった。
「nかぁ久しいなあー!あれらの相手はお前にゃ大変ろ?ん?w」
とイタズラな顔をしてみせる。私も素直に「確かにお前の相手の方がよほど楽だな」と嘯き笑った。