この怖い話は約 2 分で読めます。
kさんはついでに語ってくれた。
こんな話をしなければ歴史は打ち消せるんではないのか?
呪いや呪術なんて伝えなければいい。暗い先祖の歴史なんて知らずに生きればいい。
そうしていれば、いつかはなくなるんじゃないか?
だから私の祖父と祖母はこの地を離れ、私と私の両親が育ったその土地選んだのだと。
だから、私も私の両親もこの話を知らないとkさんは語った。
「nくんのお母さんが死ぬまではなぁ・・・・」
私はこみ上げる感情を抑えきれなかった。
「ど、どう言う意味ですか?」
「お父さんは知っとるよ、この話・・・」
幼い頃の記憶・・・、親父は酒に溺れていた。
いつか、私が訊いた・・・
「なんで母ちゃんいないの?」
親父の顔はみるみる真っ赤になって、
「うるさいっ!お前には母さんがいないんだ!それがどうした!!」
その後も叩かれ、罵られてすごく恐ろしかった。
私たち兄弟の聞いてはいけないタブーだった。
また胃の辺りがぎゅうと締め付けられて・・目に映る景色が、じわっと滲んだ・・・・。
235 本当にあった怖い名無し 2011/04/28(木) 04:15:17.61 ID:BNWIq7oiO
或る朝、空はどこまでも高くて、空気は澄み切っていた。
私たちは本家に向かい、神主さんの祝詞を聞き、作業を手伝った。
いやに清々しい日和に、私の重苦しい心の毒気も、あの綿雲のようにふわふわとたゆたうものに交代した。
労働に汗を流しながら、ヒロと煽り合い、バカみたいに笑い合いながら、少しずつ現実を受け入れた。
それまで想像もしえなかった暗い歴史の上にある自分の命。
それは私がこれからも謙虚に生きていく為の糧になるんだろう。
皆さんもぜひ家族や親戚に昔話を聞いてみてほしい。
案外、不思議は近くに転がっているもんですよ。
けれどね、現実という奴は決して一つじゃないようだ。
この話に後日談があるように、歴史はそう単純に語れない・・・