洒落怖
女難の家系

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酒の席、どうやって上手くkさんから話を引き出すか。そして私が飲まされないように交わすか。

そして、
なぜ・・・・

なぜ私には母がいないのかを・・・・・

228 本当にあった怖い名無し 2011/04/28(木) 04:01:53.20 ID:BNWIq7oiO
>>227

陽が落ちた頃、古民家yさん宅にはぞろぞろ人が集まる。
ヒロはもちろん、昨日は見ない顔がたくさんならび、私もそわそわと落ち着かない。

陽と月が交代するころには宴の準備が整ったようで、大きなちゃぶ台には大皿に盛られた美味しそうな料理がでんと並ぶ。
私も空いた座布団にちんまりと座り、乾杯にまじった。

料理に満足した人は各々の遊びを楽しんでいるようで、私もヒロに返盃を誘われ。少しくらいならと酒に興じた。
凡そ二人でバカ笑いしながら一升を呑みきった頃、kさんがこちらへ来た。

「ちょっとついて来ちゃれ」

そう言うなり二人とも来るようにとジェスチャーし、私たちは素直にkさんの後をついていった。

騒がしい縁側を背に、虫が鳴く夜、月がkさんとヒロと砂利道を照らす。

少し歩くとkさんが口を開いた。

「おいは今酔っとるからのぉ・・えぇか!酔っとるのよ・・・」

「n!お前の話ぞ!・・・・」

229 本当にあった怖い名無し 2011/04/28(木) 04:05:12.42 ID:BNWIq7oiO

その時のkさんの表情と抑揚を今でもはっきり覚えている。

彼の方言と酒を交えた話を要約すると、うっすらではあるが全容が見えて来た。

今から500年ほど前に本家、つまり私の祖先は代々その土地を治めていたそうなんだ。
作物の品種改良や田畑の効率、自然の理(ことわり)や大量生産の先駆けを民に説いたそうだ。
それに神仏に至るまでを語り、今でいう哲学のようなものを伝え広めたんだそうな。
それを良いことに悪政を働きはじめ、私欲に走り出したちょうどその頃、
それに異を唱え反論した勢力や、民がすべからく生まれ。その知恵や知識の根源を問うたそうな。
先祖はそれをひた隠した。なぜならそれは西国や唐国からの知識であり、
それらを寛容に「然り」と受け入れられるような時代ではましてなかったし、
なにより私欲を守る為に知識を分け与えるなんてことは絶対に有り得なかった。
それから人々の信仰からくる不信や異端の意識からの亀裂が生じたらしい。

ちょうどその頃、東からの文化で、呪術を司る賢者が現れ、ここいらの土地の民の話を聞いたんだそうな。
それに心打たれた賢者は民にある呪術を教えたんだ、それが女の血を絶やすという呪術なんだと。
男が百人いても、女が五人なら年に五人しか子はない。
しかし、男は五人でも女が百人なら、年に百人の子を生むことができるからと・・・・。

その呪術により、この家系は女が長く生きられないんだそうな。

230 本当にあった怖い名無し 2011/04/28(木) 04:09:36.86 ID:BNWIq7oiO

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