洒落怖
警報

この怖い話は約 2 分で読めます。

大学生の頃、先生から聞いた話。

私の通っていた大学には、博物館がありました。大学ゆかりの人物の名を冠した、結構立派な建物です。
ある夜、先生は博物館に泊まり込みで仕事をしていました(先生はその博物館の学芸員でもあった)。

ところで、博物館のガラスケースには、防犯用のセンサーが取りつけられています。不審者がケースに手を入れると、警報音が鳴るしくみです。

深夜、静寂を突いて“ピィィィーー…”と展示室からセンサーの音が鳴り響きました。
仕事中だった先生は、すわ、泥棒かと展示室へ駆けつけました。
お約束ながら、展示室には人の気配なし。無人の室内に、センサーの音だけが鳴り続けていました。

291 本当にあった怖い名無し sage New! 2010/11/28(日) 20:23:46 ID:9qDGm6RmO

おかしいなぁ、と思いながらも警報を止め、先生は仕事へ戻りました。

しかし、戻ってしばらくするとふたたび展示室から“ピィィィィーー…”と甲高い警報音が。
またも先生は飛んで行きましたが、やはり何の気配もなし。
壊れちゃったのかなぁ、と思いながら音を止め、戻ろうと展示室を出たところで、駆けつけてきた警備員さんに出くわしました。

「あっ先生、今警報鳴ってませんでしたか?」
「そうなんですよ、どうもセンサーが壊れちゃったみたいで」

そんな会話をしながら一緒に廊下を歩いていたとき、ふと、警備員さんが尋ねました。

「そういえば先生、今あの部屋では何の展示をされてるんですか?」

先生は答えました。

「ああ、『明器』の展示をやってるんですよ」

その瞬間、初めて先生は鳥肌が立ったそうです。
明器というのは、古代中国でお墓に供えられた副葬品のことをいいます。

死者に捧げられた明器、そこで反応したセンサー。
そのセンサーは、人間の体温に反応して音が鳴るものだったといいます。

最後に、先生はこう言って話を締めくくりました。
「幽霊にも、体温ってあるんですかね」

都内の某大学での話でした。

この怖い話にコメントする

警報
関連ワード