田舎・地方の習慣
デジャヴ

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706 名前:私の体験談 投稿日:2001/05/02(水) 07:30
私には幼い頃からどうしても忘れられないある風景があります。
戦時中のような裸電球がともる部屋の中で、私は何か茶色の扉のような物を見つめている、外には誰かが居るらしく、開けようと近づくと一人の男が現れる、彼のきている縞模様の服の色だけが
鮮明に眼に焼き付いています。
その人は私の代わりにドアを開ける、記憶はここで途切れていて、どうしても続きが思い出せません。
子供の頃のことなのか、どこかで経験したことなのか、両親に聞いても知らないと言うし、第一私達家族が今住んでいる東京の家にはそんな古風な部屋などありません。
ずっと不思議な記憶のままです。
ある日の夕方、私が大学から帰宅すると、母から祖父の弟さんの三周忌の法要をやるから、みんなで帰ってくるようにと
田舎の祖母から電話があった事を聞きました。信じられないことですが、私は母にそのことを聞くまで、祖父に弟が居たことを知りませんでした、
父にきいても、昔祖父と一緒に上京して、なにか事務所を開いていたが、些細なことから祖父と仲たがいして、また田舎に帰ってしまった。そのあとのことは
田舎に言ってから話すというだけでした。私達三人はとにかく最終の新幹線で父の地元であり、その弟さんの生地でもある、
ある県に向かいました。

707 名前:私の体験談 投稿日:2001/05/02(水) 07:42
田舎につくと祖母が出迎えてくれました、
祖母はまるで私の気をそらすように、「今日は珍しい日だよ、カミオロシの儀式があるよ、都会の子には
面白いと思うと言いました。祖母のよると。それはちょうど外国のハロウィンのようなもので、年に一度村に還ってくる
死者の魂を村のある神社で、氏子の子供達が一晩中社にこもって迎えるお祭りだと言うことでした。
田舎といっても最近はさすがに電話もテレビもあります。いくらなんでも大時代的な風習だというので
その村でもずっと途絶えていたらしいのですが、実は村はまもなくダム開発工事のために水のそこに沈んでしまう(ちょうどあのバブル時代のことでした。)
のでもう最後だからと何十年ぶりに復興したということでした。
わたしは面白そうだとも思いましたが、なにか薄気味悪い感じもしたので、
祭りには行かず、祖母の家にいることにしました。

続きます。

709 名前:私の体験談 投稿日:2001/05/02(水) 07:54
その村は明治時代には養蚕で栄えた場所で、祖母の家の屋根裏にも蚕を飼った飼育箱や
手紡ぎの機械などがありました。当時史学科に籍を置いていた私は、もう夢中になってそれらを見て回りました。
法要もすみ、夜になりました。母は神社で例のお祭りの手伝いがあり、父も法要の後始末があるというので今夜は寺に泊まるということでした。
私はそれを良いことに、東京から持っていった吉川弘文館のなんとかという歴史書をもって、屋根裏部屋に上がりこみました。
ちょうど祖母も手伝いで留守だし、そこで一晩中読書しようと思ったのです。その時には、もうあの弟さんのことはすっかり忘れてしまっていました。
そしていつのまにか私はその屋根裏部屋で寝入ってしまい、夜中近く(だったと思う)に目がさめました。

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