田舎・地方の習慣
デジャヴ

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710 名前:私の体験談 投稿日:2001/05/02(水) 08:10
何か物音がしました。私は下の階に降りました、
玄関をみると、お客さんのようです。だれかが戸を手でたたいていました。
私が出ようとして歩いた瞬間、思い出しました、あの風景です。
一種のデジャヴというやつで、見ると本当に祖母の玄関は裸電球が下がっています。
そして玄関の扉の良く見ると茶色です。そうこうしているとあの記憶と同じように一人の男が
私の前にでてきました(この人は祖母の知り合いのおじいさんで、留守番だった)。
その時、ずっと思い出せなかった、その風景の続きが思い出せました。その人が戸を開ける、すると
戸口には誰かが立っていて、何か手にしている。そしてその手にした物をおじいさんの襟元にむけて
振り上げる。今ようやく続きがでてきましたが、私は何かその時、猛烈に胸騒ぎをかんじて、戸を開けさせる気になれませんでした、
バカげた話ですが、私は自分の勝手なモウソウ(その男におじいさんがなにか命にかかわることをされる)
というのにとらわれて、必死でおじいさんをひきとめました。おじいさんは訳がわからないという顔をして(当たり前ですが)私を見ています。
二分ぐらいでしょうか、そうしているうちに、そのお客さんは去ってしまったのか、ノックの音は、しなくなってしまいました。

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711 名前:私の体験談 投稿日:2001/05/02(水) 08:33
翌日になって、寺から戻った父に、私はあらためて弟さんの死の理由について聴きました。
それによると。
弟さんは田舎に帰ってから、すっかり廃人のようになってしまい、仕事もせず、ずっと家にこもっていたそうです。
そしてとうとうある日精神に異常をきたして、大変な事件を起こしたということです。
その事件とは、私も驚いたのですが、無差別殺人ということでした。
村の家を回り、出てきた人にきりつけていったそうです。警察が弟さんの遺体をみつけたのは、その翌日(事件の日は夜で、ちょうどあのカミオロシがあった夜だった)
村の川にかかる鉄橋から投身自殺していたそうです。
当時まだ私は小学生であり、そういうことを話して聞かせるのはふさわしくないと判断した両親は私にはそのことを言わなかったのだそうです。
その時私の頭の中では、四つのことがつながりました。
死者の魂が還る、カミオロシの夜、村の家の玄関を片っ端から回った弟さんの事件のこと、
何かをおじいさんに振り上げるあの風景にでてくる男のこと、そして昨日の夜の来客のこと。
私は自分でもばかげているとは思いながら、もしかしたら、昨日のよる家にやってきた、あの異様に激しく戸口をたたいていたあの客は・・・。
そこまで考えた時、私は父に、ひょっとして、その弟さんが事件の時につかったのは、なにかナタのように振り上げるものじゃないか?と聴きました。
すると父はおどろいて。「ヨキといってね、この辺の言葉で、東京でいうナタのことだよ。」
と言いました。
いまでも、私がデジャヴでみたあの風景が何なのか、自分でも良くわかりません、
でも考えすぎかもしれませんが、もし昨日あの留守番のおじいさんが戸をあけていたら、私はあの風景とおなじ物を目にしていたのか、
そう考えるとなんだかひどく気味が悪いのです。
いまはあの村もダムのそこに沈んでしまい、弟さんのことも、あの風景のことも、なにひとつ調べることは出来ません。
でもいまだにこの話は、私の脳裏に焼きついて決して忘れることができずにいるのです。

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