洒落怖
出られない少女

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俺は、彼女の指示通り歩き出した。
「Aの家、知ってるの?」
(ええ、今は住んでいるかわからないけど。)

「そもそも、それって何年前なの?」
(とても昔。具体的にはわからない。)

「引っ越してたらどうする?」
(…どうしようかな…)

もし彼女に(一緒に探して。)と言われたら、頷いてしまっていたかもしれない。
「…とりあえず、行ってみよう。」

そして、Aの家についた。表札を見てみるとAの名字と同じである。

「さぁ、行ってみるか。」
(お願いします。)

何度か扉を叩くと、60代くらいの女性が出てきた。

「すみません、Aさんはいらっしゃいますか。」

512 本当にあった怖い名無し sage New! 2010/04/24(土) 00:13:08 ID:adgRU6fV0
「どちら様?」
女性は怪訝な顔を見せた。確かに、この年代の人間が訪問するのも珍しいだろう。

「えっと…Aさんの同級生の孫です。」
咄嗟に誤魔化した。

Aが女性と同じ位の年齢でなければ、孫だと変かもしれない。
しかし、女性は疑いもせず、Aを呼びに行った。

すぐに、Aが現れた。見た目は珍しくもない老いた男性。
「えっーと、僕の同級生の孫?誰かな?」

「…由美さんです。覚えてらっしゃいますか?」
(ありがとう…)

Aは少し考え、思い出したように震えはじめた。
「ばかな!あいつは死んだはずだ!」

由美はこの男に殺されたんだと改めて思うと、許せなかった。
「思い出しましたか。あなたが殺したんですよ!」

Aは開き直っていた。
「僕は殺してない!それが真実であったとしても、もう時効だ!」

それが嘘であることは、一目瞭然だった。
「法が許しても、彼女は許してませんよ。今までずっとあなたを恨んでましたよ。
…由美、何か言いたいことはあるかい?」

513 本当にあった怖い名無し sage New! 2010/04/24(土) 00:15:03 ID:adgRU6fV0
(死ぬまで、私を殺したことを背負って。悪いことが起きる度に私を思い出して。)

俺は伝えた。呆然と立ち尽くすAを尻目に俺たちは去った。

「こんなんで良かったのかよ…霊体ならもっと方法あるんじゃないの?」

(いいの。あったとしても。もう十分よ。)
彼女の口調は穏やかだった。まるで、全てを成し終えたようだった。

それからは、ずいぶん昔の話だったんだなぁ、などと雑談をしていた

(あの…私…)
「ん、どうしたの?」

(私、成仏っていうのだと思うんですけど…できそうなんです。)

「そ、そっか。良かったじゃん。」
少し動揺した。
出会ってまだ数時間。こんなにも打ち解けて仲良くなれたのに、少し残念だった。

「あのさ、由美が俺と同じ年代に生きていたらなって思うよ。
そしたらすごく楽しかったと思う。」
これが俺の本心だった。
死んだ人間に対して愚かかもしれなかったが、俺は彼女に惹かれていたのかもしれない。

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  • 匿名 より:

    ベタ過ぎ

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