洒落怖
出られない少女

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俺は彼女が何を言っているのかイマイチ理解できなかった。
出られない?神社からだろうか。あるいはこの町からだろうか。

「どこから出られないんですか?」

彼女は「ここ。」という風に地面を指した。

俺は合点しないながらも立ち去ることにした。
ここに長居する必要はない。
「そうですか。他の人に聞くことにします。」

しかし、彼女は焦ったようにこう言った。
「待ってください。少しお時間いただけませんか。」
急に態度を変えられて、俺は少し驚いた。
しかし、夏の田舎町、少し不思議で綺麗な少女。
何かを期待するには十分だった。

507 本当にあった怖い名無し sage New! 2010/04/24(土) 00:01:04 ID:adgRU6fV0
ついでにいい機会だと、堅苦しい敬語はやめることにした。

「話すなら涼しいところがいいよね。」

この場所自体、木々のお陰で避暑地ではあるが、
俺は彼女を先導するように本堂の屋根が陰になる階段に腰かけた。

軽く自己紹介をした。彼女の名前は由美というそうだ。
そして、彼女は話始めた。

「私…ここから出られないと言いましたよね?この場所から…
私には、この場所にどういった意味があるかはわからないんです。
ただ、不思議な力のようなもので縛り付けられているのです。」

「驚かないで聞いていただけますか?どうか、逃げないで…

私は…この場所で死んでいるのです。」

不思議だった。
彼女に対する違和感は、格好や雰囲気からは感じられるものの、
死者のような不気味さはなかったから。

まるで今も呼吸していて、生きているように見えるから。

508 本当にあった怖い名無し sage New! 2010/04/24(土) 00:03:21 ID:adgRU6fV0
俺は思わず口にした。「死んでいる?君が?」
未だ半信半疑であった。

「はい。正確には、殺されました…」
悲しそうな彼女の表情。年齢は、俺と同じか、少し上くらいだろうか。
その無念さを思えば、こうして現世に残ってしまう気持ちもわからなくはない。

聞けば、当時、Aという年上の男にこの神社に呼び出され、交際を迫られたそうだ。
しかし、医学の道に進みたかった彼女にとって、年上の男など不要だったという。

そして彼女は断り、逃げるように階段を降りようとした。
その瞬間、背中を押される感覚があったそうだ。
一度心臓がドクン、と強く打ち、転げ落ちて頭を強打し強烈な痛みを感じた次の瞬間には、霊体となってこの場所にいたという。

参拝にくる人々の話によれば、どうやら事故として扱われたということがわかったそうだ。

「私を殺したあの男が普通に生きていることが許せない。私の夢も希望も人生も奪ったAが…」

俺は言葉を失った。

そして、彼女は驚くべきことを申し出た。
「私に、あなたの身体を貸してくれませんか。」

俺はドキッとした。思春期の男に、少女のこの言葉は刺激的だった。

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  • 匿名 より:

    ベタ過ぎ

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