洒落怖
ワラズマ

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で、その人が覚えているワラズマの規則は、
・必ずその家の仏間の隣に作らなくてはならない。
・四方を廊下で囲み、そこは人の通行を制限してはならない。
・むしろ客人には、その廊下を通ってもらったほうが良い。
・ただし、ワラズマのことは、家の者以外に話してはいけない。
・あと、部屋には出入り口を二つないし、三つ作らなくてはならない。

76 本当にあった怖い名無し sage 2012/01/14(土) 06:34:18.19 ID:UI2AIrGB0
最後の変だよね。
尋ねてみたら、ワラズマは本来一代、よくて二代くらいにしか効かないものらしい。
けれど○家は元からお金持ちだったので、高名な行者に金を積んで頼み込み、
特別長く効くワラズマを作ってもらったんだって。
本来のワラズマは、障子や窓などで塞いであっても、出入り口をいくつも作って、
かつ客人にその周囲を歩いてもらわなければならない。
でも、部屋に入られたら術は切れ、中から怨霊が飛び出すという
効き目は凄いが、かなりリスキーな代物だった。
どうやらその行者はワラズマ作りが専門つーくらい慣れた人だったらしく
俺が考えた最強ワラズマ()を、○家に作ってやったらしい。
本来の形と違い、○家のワラズマの四方が壁で塞がれていたのは、そのせい。

で、もうわかってるだろうけど、普通ワラズマを開封した人間は、
誰だろうとすぐ死ぬものなんだって。
なにせ怨霊入りの部屋を開封して、
何十年も閉じ込められていた恨みパワーをもろに浴びるんだもの。

77 本当にあった怖い名無し sage 2012/01/14(土) 06:35:46.97 ID:UI2AIrGB0
なんで俺は生きてるのかってことと、フィンガーさんは最後に俺の頬に突き刺さったが、
それまでは優しい霊?だったぞと尋ねた。
すると、○家のワラズマは特別なので、
中に何が入っているかは、作った当初から行者以外は誰も知らなかったそうで
開けたのが、行者オリジナルだったからじゃないかと言われた。
でも強力なはずなのに、俺が何事もなく生き残るとか、わけわからんよな。

あと、とりあえずこれだけは弁解しなくてはと
あの部屋には襖があり、最初から開いていたと言ったら、
「四方が壁の部屋にキミが入れた時点で、なんとなくわかっていた。
きっともう、うちのワラズマも寿命だったんだ」と言われたよ。
それに、人間の恨みがどれほど恐ろしものなのかは身にしみてわかったから、
俺のことを恨む気にはなれないって、遠い眼をして微笑んでた。

78 本当にあった怖い名無し sage 2012/01/14(土) 06:37:04.26 ID:UI2AIrGB0
○家はバブルが弾けて会社が潰れ、負債を抱えて一家離散したんだが、
四男さんは離散した後、兄弟や家族がどうなったか知らないと言っていた。
家族が離散したのは、少しでも降りかかる禍を分散させるために、
意図的にそうしたらしい。
手紙や電話でも、繋がったとみなされ連鎖するので、
いまでも誰とも連絡は取り合っていないそうだ。
そう話してくれた四男さんは、仕事中の事故で両足と左腕がなかった。
障害者になり、自分だけではどうしようもなくなり、
○家とは直接血が繋がらない、ワラズマの恩恵を受けていない親戚に助けを求めたから、
俺は彼を見つけられたみたい。

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